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無感動
「無感動〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無感動の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葬儀記」より 著者:芥川竜之介
変わっていたりする以外に、どこかちがっているところがある。僕はその前で、ほとんど
無感動に礼をした。「これは先生じゃない」そんな気が、強くした。(これは始めから、....
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
来事を折田に話した。 「俺はそんなときどうしても冷静になれない。冷静というものは
無感動じゃなくて、俺にとっては感動だ。苦痛だ。しかし俺の生きる道は、その冷静で自....
「器楽的幻覚」より 著者:梶井基次郎
つかわしかった。そうして黙って気を鎮めていると私は自分を捕えている強い感動が一種
無感動に似た気持を伴って来ていることを感じた。煙草を出す。口にくわえる。そして静....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
て見たことのない半葉がある――それなんだよ」と夢見るような言葉を、法水はほとんど
無感動のうちに云った。「その内容が恐らく算哲の焚書を始めとして、この事件のあらゆ....
「黒猫」より 著者:島木健作
母はどんな手段を取ったものだろう。老人の感情は時としてひどくもろいが、時としては
無感動で無感情である。母は老人らしい平気さで処理したものであろう。それにしても彼....
「放浪の宿」より 著者:里村欣三
きき方をした。 「ええ、奉天から……」 「歩いてか?」 「ええ……」 男は再び
無感動な動作で、虱を潰し始めた。が、ふと、「その兄イも一昨日大連から歩いて来たん....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
、サイナラと云った。私の顔をみながら、口紅の色に気がついたのやらつかないのやら、
無感動無表情であった。 帰り途。私は、ふっとかなしいものが胸の奥底から湧き上っ....
「帝銀事件を論ず」より 著者:坂口安吾
けであるが、外地の特務機関だとか憲兵だとか、芋のように首を斬り、毒薬を注射して、
無感動であった悪夢の時間があったはずだ。戦争というまことに不可解な麻薬による悪夢....
「二合五勺に関する愛国的考察」より 著者:坂口安吾
体も見たのである。吹きちぎられた手も足も見たし、それを拾いあつめもした。まったく
無感動に、今晩の夕食の燃料のために焼跡の枯木を盗みにゆくよりもはるかに事務的な無....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
それにマチガイはないのです。一週間か十日のことですがね」 エンゼルは深い目を、
無感動に、ジッと長平の顔を見つめていた。 エンゼルが身に現しているものは、対等....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
昔のことは、みんな忘れた」 こまごまと全ての話をきき終っても、お久美はまったく
無感動であった。毛スジほどのなつかしさも浮かべず、折れた歯でもこぼすように呟いた....
「佳日」より 著者:太宰治
もんじゃない。」 「名誉の家?」 私は名誉の家の所以を語り、重ねてまた大隅君の
無感動の態度を非難した。 「きょうはじめてお嫁さんと逢うんだというのに、十一時頃....
「もう軍備はいらない」より 著者:坂口安吾
で小さなバクダンの筒に頭を砕かれて大の字にひッくり返って死んだ人間については全然
無感動であったと云ってよい。雨に打たれて誰かが死んだ。それがオレでなかっただけの....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
感情を覚えた。 「地主の連中があまり厳しくしないでけれッて云ってあるんだとよ。」
無感動な男だ、何を考えてるんだろう!――節は聞いていなかった。 「活動もあるわけ....
「火夫」より 著者:カフカフランツ
ルルは身体をゆるめられたと感じたあとで、なるほどうれしそうにではあるが、まったく
無感動にたずねた。そして、この新しいできごとが火夫に対して及ぼすだろうと思われる....