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「無能力者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

無能力者の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
明暗」より 著者:夏目漱石
ま》るよりほかに何の手段も講じ得ない境遇にある現在の彼女は、結果から見てほとんど無能力者と択《えら》ぶところがなかった。 なぜ心に勝っただけで、彼女は美くしく....
親子」より 著者:有島武郎
もし株主の側から出た噂ならだが、営業者間の評判だとすると、父は自分の役目に対して無能力者だと裏書きされているのと同様になる。彼はこれらの関係を知り抜くことには格....
春の枯葉」より 著者:太宰治
んだ。国民学校の先生になるという事はもう、世の中の廃残者、失敗者、落伍者、変人、無能力者、そんなものでしか無い証拠だという事になっているんだ。僕たちは、乞食だ。....
思想と風俗」より 著者:戸坂潤
の壮年者や老年者とは社会的に種族を異にした人間のことなのである。法律的に有名な「無能力者」としての妻が、いかに年を取っても男とはなれないように、現代青年は、どん....
合図の旗」より 著者:宮本百合子
き、日本の民法が主婦を、無能者ときめていることは、何たる愚かな滑稽であろう。その無能力者を、刑法では、そう認めず、処罰にあたっては、忽ち同一の主婦が能力者として....
人造人間事件」より 著者:海野十三
のですよ。夫人はあの外人と、密かな邪恋に酔っていたでしょうが、いまのところ博士は無能力者であり、自分は誰にも邪魔されず研究していられりゃいいのであって、その点、....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
気を使って忠実に働いた。会社の人達から唯社長の弟であるというだけに思われ、全くの無能力者である軽蔑をたえずうけていることにあわれみを持っていたわる気持を行動にあ....
狼疾記」より 著者:中島敦
にはならないんだからな。決して。大体が、享受的生活などというものが、そもそも生活無能力者の・最後の・体裁の良い隠れ家なんだぜ。何だと? 「人生は、何もしないでい....
理想の女」より 著者:豊島与志雄
だったのだ。秀子とはると二人でした策略だったのだ。私はいつのまにか、意志の上での無能力者として取扱われていたのだ。……そういうことが相次いで起ると、私は自分の云....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
年に千五百フランの定収入を浪費する。彼らは中性の大種類に属する。去勢者、寄食者、無能力者ともいうべきもので、少しの土地と少しの無分別と少しの機才とを持っており、....
三十歳」より 著者:坂口安吾
ていた。それはなべて女のもつ性格の然らしめる当然であったようだ。 私はまったく無能力者であった。私の小説などは一年にいくつと金にならず、概ね零細な稿料であり、....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
ナガリを尊敬するという義務を果すぐらいで充分なのではないでしょうか」 「理窟屋!無能力者は、そうなのよ。いつも言葉で考えてるわ。私は、考えるのは、イエスとノオを....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
事実を御存じであろうか。嘘ではない。それが当時の貧民窟の実情であった。有縁無縁の無能力者、惰民の類がゾロゾロと金魚のウンコのようにつながってころがりこんでいるも....
一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
員の間に、誰は無能なのに高給を食んでいるなどと不平をいうものもありそうだが、一見無能力者のようでも真直な人は、一家にも一商店にも一団体にも重きをなすものだという....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
でなく、九条家や西園寺家にたよって立身出世する野心を持った。俊成はその方はすでに無能力者なので、彼は借りられるだけ古い日記類を借り写して、独力で有職の学問をした....