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「無賃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

無賃の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
みちのく」より 著者:岡本かの子
馬鹿について話してくれた。 汽車の係員たちまでがこの白痴の少年には好意を寄せて無賃で乗車さす任意の扱《あつか》いが出来たというから東北の鉄道も私設時代の明治四....
坑夫」より 著者:夏目漱石
ぐ》の至《いたり》である。愚はどこまでも承認するがこの質問に出逢《であ》うまでは無賃《ただ》で乗れるかのごとき心持で平気でいたのは事実である。よく分らないけれど....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
で行った。旧い伝馬制度の改革もしきりに企てられ、諸街道の人民を苦しめた諸公役らの無賃伝馬も許されなくなり、諸大名の道中に使用する人馬の数も減ぜられ、助郷の苦痛と....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
旧い伝馬制度の改革が企てられたのもあの時からで、諸街道の人民を苦しめた諸公役らの無賃伝馬も許されなくなり、諸大名の道中に使用する人馬の数も減ぜられ、問屋場|刎銭....
冗談に殺す」より 著者:夢野久作
った。今度は運転手がわざわざ窓の所へ顔を近づけて、私にだけ聞こえる細い声で、 「無賃でもいいんですが」 といった。ドウヤラ笑っている眼付である。 私はチョッ....
悪魔祈祷書」より 著者:夢野久作
すがね。良心があるんだかないんだか、紳士的なんだか、超特級の泥棒根性なんだか……無賃乗車で行って用を足して引返して来て、乗らない顔をしているみたいなもので、やや....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
込むことばかりにこれ努めた。 その結果は、甚だよろしくなかった。彼は、とうとう無賃乗車の怪しい乗客として、車掌に捕えられた。それから憲兵の前へ引き出された。 ....
食糧騒動について」より 著者:与謝野晶子
の不足を補って多数の軍艦を代用するも好く、全国の汽車をそれらの運輸のために臨時に無賃とするも好いでしょう。また私たち無産階級のみが外米を食べるのでなくて、河上肇....
淪落の青春」より 著者:坂口安吾
も宝の山をいだきながら、一文にもならない。戦争中は挺身隊だの学徒隊だのというのが無賃で運送に来てくれたから、このへんの炭焼きは儲けたものだが、今はそれもダメ、有....
妾の半生涯」より 著者:福田英子
も》りて赤面したる事もあり。凡《およ》そ大阪にて無一文の時二、三十人の壮士をして無賃宿泊の訴えを免れしめ、梅清処塾《ばいせいしょじゅく》の書生として事なく三週間....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
るほど、おまえが飼主か」 「おれの持牛じゃねえが、問屋場の牛小屋にいる牛だあな。無賃じゃいかねえぜ」 「よしよし、飼料をつかわそう。――だが、その賃さえ払えば、....
融和促進」より 著者:喜田貞吉
何十万人とできました。それが幸いに大正のありがたい御代であったがために、ある者は無賃で汽車に乗せてもらって、遠方の親戚故旧をたよったり、あるいは郷里へ遁げて帰っ....
野宿」より 著者:山之口貘
、罹災民の一人として、沿線の、おにぎりや林檎や味噌汁などの恩恵をこうむりながら、無賃乗車、無賃乗船で、郷里へ辿りついたのであるが、おもえば、上京以来、帰郷までの....
私の青年時代」より 著者:山之口貘
金が、上京以来ただの一度もなく、大震災を機に出直すつもりで罹災者として汽車、船を無賃で沖縄へ帰ったのである。 帰るとすぐに父の事業が失敗していることを知った。....