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無遠慮
「無遠慮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無遠慮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
明暗の斑点を浴びた、白粉《おしろい》をつけない敏子である。男は妻の顔を見たまま、
無遠慮に大きい欠伸《あくび》をした。それからさも大儀《たいぎ》そうに、ハムモック....
「影」より 著者:芥川竜之介
かけず、砂利を敷いた構外へ大股《おおまた》に歩み出した。その容子《ようす》が余り
無遠慮《ぶえんりょ》すぎたせいか、吉井は陳の後姿《うしろすがた》を見送ったなり、....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
ものであった。だからその時間中、倦怠《けんたい》に倦怠を重ねた自分たちの中には、
無遠慮な欠伸《あくび》の声を洩らしたものさえ、自分のほかにも少くはない。しかし毛....
「路上」より 著者:芥川竜之介
るのを喜んだ。が、大井はやはり退屈らしく、後頭部を椅子の背に凭《もた》せて、時々
無遠慮に鼻を鳴らしていたが、やがて急に思いついたという調子で、
「おい、野村君が....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
《アメリカ》人が、この有名な将軍の眼には、Monomania じみた所があると、
無遠慮な批評を下した事がある。――そのモノメニアックな眼の色が、殊にこう云う場合....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
」ものと妥協するのである。学者はこの椎の葉にさまざまの美名を与えるであろう。が、
無遠慮に手に取って見れば、椎の葉はいつも椎の葉である。
椎の葉の椎の葉たるを歎....
「或る女」より 著者:有島武郎
かんぱん》の上をそぞろ歩きしている葉子が、田川|博士《はかせ》の部屋の中から例の
無遠慮な事務長の高笑いの声をもれ聞いたりなぞすると、思わずかっとなって、鉄の壁す....
「或る女」より 著者:有島武郎
「でもそんなにおしゃれしなくったっていいわ。おねえ様が早くっておっしゃってよ」
無遠慮にこういう貞世の声もはっきり聞こえた。葉子はほほえみながら岡を暖かく見やっ....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
た子供たちは遠巻きにその一人の子供を取り巻いた。すべての子供の顔には子供に特有な
無遠慮な残酷な表情が現われた。そしてややしばらく互いに何か言い交していたが、その....
「星座」より 著者:有島武郎
を兼ねていたが、西山がどうかすると受身になりたがるガンベの渡瀬に対してつけつけと
無遠慮をいった。つまり三人は三すくみのような関係にあったのだ。
「新井田の細君の....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
》のものにはあらずやと心ひそかに疑えり。月を浴びてものすごきまで美しき女の顔を、
無遠慮に打ち眺《なが》めたる渠の眼色《めざし》は、顰《ひそ》める眉の下より異彩を....
「時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
然主義にあってはたんに見、そして承認するだけの事を、その同棲者《どうせいしゃ》が
無遠慮にも、行い、かつ主張せんとするようになって、そこにこの不思議なる夫婦は最初....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
お雪はものもいい得ない。背後から大きな声で、 「奢れ奢れ、やあ、棄置かれん。」と
無遠慮に喚いてぬいと出た、この野面を誰とかする。白薩摩の汚れた単衣、紺染の兵子帯....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
とさばけた態度で、そう言われましたので、私の方でもすっかり安心して、思い浮ぶまま
無遠慮にいろいろな事をおききしました、その時の問答の全部をここでお伝えする訳にも....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
忙わしく膝を立て、 「私が、私が参りますよ、串戯じゃない。てッて、飛出すのも余り
無遠慮過ぎますかい、へ、」と結んだ口と、同じ手つきで天窓を掻く。 「何、お前さん....