無雑[語句情報] »
無雑
「無雑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無雑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
に目的は吸い込まれてしまう。そこには何等の努力も義務も附帯してはいない。あの純一
無雑な生命の流露を見守っていると私は涙がにじみ出るほど羨ましい。私の生活がああい....
「聖書」より 著者:生田春月
ている。縁も煤けている。何だかこう漁師町の娘でも見るような気がする。意外に軽い。
無雑作に開いて見ると、これは聖書だった。細い字が隙間なしに植えてある。まんざら漁....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
た木菟の雛ッ子のような小僧に対して、一種の大なる化鳥である。大女の、わけて櫛巻に
無雑作に引束ねた黒髪の房々とした濡色と、色の白さは目覚しい。 「おやおや……新坊....
「転機」より 著者:伊藤野枝
する感じが生きている。私はそれをTのように単に幼稚なセンティメンタリズムとして、
無雑作に軽蔑することもできないし、無視することもできないのだ。 私がたまたま聞....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
、慾張ってますから、両三度だけれど覚えていますわ。お分りにならない筈……」 と
無雑作な中腰で、廊下に、斜に向合った。 「吉原の小浜屋(引手茶屋)が、焼出された....
「橋」より 著者:池谷信三郎
ってきたのは、あの晩からであった。もちろん彼女は大勝ちで、マクラメの手提袋の中へ
無雑作に紙幣束をおし込むと、晴やかに微笑みながら、白い腕をなよなよと彼の首に捲き....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
っておくれだと嬉しいけれど。」 とためいきして、力なげなるものいいなり。少年は
無雑作に、 「じゃあ、お貞さんか。」 と言懸けて、 「何だか友達のように聞える....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
って聞棄てにもせず、何の機会もないのに、小形の銀の懐中時計をぱちりと開けて見て、
無雑作に突込んで、 「お婆さん、勘定だ。」 「はい、あなた、もし御飯はいかがでご....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
に引摺る。跨いで越すに、足を挙ぐるまでもなかったけれども、路に着けた封印は、そう
無雑作には破れなかった。 前後を※しながら、密とその縄を取って曳くと、等閑に土....
「錦紗」より 著者:犬田卯
を一杯ぐっと傾けて、さて、表座敷の神棚から一冊の手垢に汚れた和本を下ろして来て、
無雑作にたずねはじめた。 「昨日の何時頃だったけや、家を出たのは……東の方角へ向....
「瘤」より 著者:犬田卯
ら修正したい点があるそうで……」と杉谷助役が村長の傍の椅子へかけるや否や、少しく
無雑作にやり出した。そして、「田辺君……」ちょいと眼で。「だいたい――」田辺は自....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
っしゃった、愛吉さんもお泊り、という時、お夏はぱっちり目を開けたが、極めて鷹揚に
無雑作に、 (…………) 枕の異ったことは何にもいわず、 (お前もお手つだい、....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
夜の梅に雪がすらすらと掛ったような姿であった。――あとでも思ったが、その繕わない
無雑作な起居の嫋々さもそうだが、歩行く時の腰の柔かに、こうまでなよなよと且つすん....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
寄ると、塚を前にほとんど肩の並んだ振袖は、横へ胸を開いて、隣地との土の低い劃へ、
無雑作に腰を掛けた。こぼれ松葉は苫のように積って、同じ松蔭に風の瀬が通った。 「....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
る。 『旦那がお出になって、例の処で始めますと、昼の雨挙げました。只の一本でも、
無雑作に挙るのが有りませんでしたから、近くに繋ってた船にも、能く知れますのです。....