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無音
「無音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無音の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
糸の編物を顕微鏡でのぞいたような光景を呈していた。そしてすべてが深海の底のように
無音の状態に置かれてあるのが、さらにこの部屋を恐ろしいものにした。 第八室に入....
「空中墳墓」より 著者:海野十三
いた。彼の眼と唇とは私に読唇術で呼びかけていた。 それに答えると、根賀地の唇は
無音ながら高速度に開いたり閉ったり左右へ動いた。 「ヤヤッ!」 私は根賀地の語....
「心臓盗難」より 著者:海野十三
。この三角関係の実相調査こそ、本事件を解くの正道だと考えた袋探偵は、隠しておいた
無音オートバイにひらりと跨ると、さっきのクーペの後をめがけて大追跡に移ったのであ....
「沈没男」より 著者:海野十三
い出した。しかしプロペラの音は全然しなかったのである。仍って案ずるに、独軍では、
無音飛行機を使っているか、乃至はグライダーをもって、わがロイヤル・オーク号を空爆....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
の診断によると、これはもう死んでいるのだ。心臓の音を顕微音聴診器できいても、全く
無音だ。死んでしまっているものを、どこへ持っていこうと心配はないじゃないか」 ....
「火星兵団」より 著者:海野十三
かった。今日博士は、消音のしかけをピストルにつけ加えたのであった。
ガス弾は、
無音のうちに火星兵の胴中に命中していく。火星兵どもは、はじめのうちは何にも気がつ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
屋に落雷があったようだった。部屋のマンナカの彼の姿だけがたった一人切り離されて、
無音のカミナリに叩かれたように見えた。 彼は視線をふりむけたところに三人の女の....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
る。瞬かない、眼にはいっぱいに涙がたまり、見てよ、はやく末起と、叫びそうなものが
無音のうちに拡がってくる。 「これ、お祖母さま?」 訊いたとき、眼は精根尽きた....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
る。ときに応じ、情勢につれて、自由に変形され展開されるとはいえ、絶えず、底をゆく
無音の旋律はおなじである。 読者諸君も、つぎの概説中にある黒字の個所に御留意く....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
丈夫でがんす、どうか屋敷へ帰って御奉公をなされたら便を聞かせて下さいよ」 鹽「御
無音勝でございますから何分願います」 多「お父さん、お母さん、達者で屋敷へお帰ん....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
はあらゆる音がなくなってしまうもので、夜の屋内でコタツに当たりながら底の知れない
無音状態を知覚しつつある時はやや無気味である。それは屋内においてのことで、屋外は....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
え」といっていました。それでただ一度伺っただけで、学校へ行くようになってからは御
無音に過ぎました。 小金井へ縁附いて、程過ぎてからのことです。少し落附いて何か....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
として、演じられるのでござります。私はこれからこの脚本の諸々の色と匂い、光と陰、
無音と音楽とをお話し致しましょう。 この脚本は夕暮より始まり、次の日の夜半に終....
「噴水物語」より 著者:岡本かの子
いる。夏の真昼、水の落ち口の池の角のところに佇って、あのきらきら降り注ぐ陽の光の
無音の雨の音と、滝の簾の音とぴったりリズムを合すときに、ひょっとすると岩の陰から....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
の旋転光の截断刃が、物の気持ちよく、それも音もなく、(恐らく澄心の極とはこうした
無音だろう。)閑かに、無気味に、降りて、その円弧の端が触れると、 じゅうである....