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無骨
「無骨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無骨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
。「僕は筋肉労働者ですが、C先生から先生に紹介状を貰《もら》いましたから」青年は
無骨《ぶこつ》そうにこう云った。自分は現在|蟇口《がまぐち》に二三円しかなかった....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
《ふすま》をあけて、気軽く下の間へ出向いて行った。そうして、ほどなく、見た所から
無骨《ぶこつ》らしい伝右衛門を伴なって、不相変《あいかわらず》の微笑をたたえなが....
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
、熱い燗の酒を続けてぐびりぐびりと飲み干した。爺は炉の火を掻《か》き立てながら、
無骨な手で酌を続けるのだった。 「どっちでもいいってこたあねえさ。いまのところお....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
物の中から、片仮名と平仮名の交った、鉛筆をなめり、なめり書いた手紙が出た。それが
無骨な漁夫の手から、手へ渡されて行った。彼等は豆粒でも拾うように、ボツリ、ボツリ....
「露肆」より 著者:泉鏡花
たりするものがあるですが、めっとせいにも膃肭臍にも、ほんとのもんは少いですが。」
無骨な口で、 「船に乗っとるもんでもが……現在、膃肭臍を漁った処で、それが膃肭臍....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
つでございました。その時分の鎌倉は武家の住居の建ち並んだ、物静かな、そして何やら
無骨な市街で、商家と言っても、品物は皆奥深く仕舞い込んでありました。そうそう私は....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
に一度もなかった。彼は六フィート以上もある背の高い人で、それに相応して幅もあり、
無骨な豪傑風の顔は、永い間の旅行ですっかり荒れて赤らみ皺がよっていた。眉毛は真黒....
「氷河」より 著者:黒島伝治
シアの娘に対する魅力の上で、かく段の差があった。彼等は、誰も彼れも、枯枝のように
無骨で、話しかけられと、耳の根まで紅くした。彼等には軽蔑しているその偽札もなかっ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
なハイカラでしたよ」 肩掛はショールともよんだ。今の人には見当もつかないような
無骨な流行で、いわば一枚の毛布をスッポリかぶったようなもの。足はひきずるばかり、....
「柳営秘録かつえ蔵」より 著者:国枝史郎
、家庭の風儀が厳しかったので、悪所へ通ったことがない。どっちかと云えば剣道自慢、
無骨者の方へ近かった。とは云え旗本の若殿だけに、風貌態度は打ち上り、殊には生来の....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
当に可哀想な奴だと思っていた。……幼いうちから、お母さんにも死別れて、儂のような
無骨な父親の手ひとつに育てられて来た。……しかし、もうお前は立派に一人前の男のは....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
えた。 彼処とこなたと、言い知らぬ、春の景色の繋がる中へ、蕨のような親仁の手、
無骨な指で指して、 「彼処さ、それ、傘の陰に憩んでござる。はははは、礼を聞かっせ....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
が車座になって、話し込んでいる。――小作達は仲々こう一緒になれる機会がなかった。
無骨な、日焼けした手や首筋が、たまにしか着ない他所行きの着物と不釣合に、目立った....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
たに来たりて、拳骨で額を抑え、どうも済みませんでした、ありがとうござりまする、と
無骨な礼をしたるもおかし。 火は別にとらぬから此方へ寄るがよい、と云いながら重....
「風と木 からすときつね」より 著者:小川未明
野原の女王になります。そして、私が、一声かけさえすれば、あのおじいさんのような、
無骨な枯れ木までが花を咲くのですよ……。」といったことを、北風は思い出した。それ....