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焦がす
「焦がす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
焦がすの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
て往来の人々が、いよいよ面白そうに笑い興じたのは、無理もない話である。――石をも
焦がすようなエルサレムの日の光の中に、濛々と立騰《たちのぼ》る砂塵《さじん》をあ....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
夕食を終ったのは、午後の九時前後であったろう。夜《よ》は暗く、ただ焚火の光の空を
焦がすのみ。雨は相変らずショボショボと降り、風は雑草を揺がして泣くように吹く、人....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
とする工夫じゃ。傾城買の恋が春の夜の恋なら、これはきつい暑さの真夏の恋じゃ。身を
焦がすほど激しい恋じゃ。 四郎五郎 夏の日の恋というよりも、恐ろしい冬の恋じゃ。....
「般若心経講義」より 著者:高神覚昇
れる言葉だとおもいます。 鳴かぬ蛍 「恋にこがれて鳴く蝉よりも、鳴かぬ蛍が身を
焦がす」といいます。泣くに泣かれぬといいますが、この境地が最も悲痛な世界です。涙....
「黒髪」より 著者:近松秋江
に描いて、ほとんどいても起ってもいられないような愛着と、嫉妬と、不安のために胸を
焦がすようなこともあったが、私は、強いてみずから欺くようにして、そういう不快な想....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
なりの高さからで、下には何があるかまったくわからない。またそうでなければ、身体を
焦がすのもかまわずに、暖炉の煙筒の中をよじ上るか、あるいはおぼれるのもかまわずに....
「博物誌」より 著者:岸田国士
まう。ただ、その代り、ほとんど真っ赤になっている薪台と、掻き寄せた灰が、彼の尻を
焦がす。 それでもそのままじっとしている。 みんなはまた彼に道をあけてやる―....
「雪の宿り」より 著者:神西清
口の花頂|青蓮院、北は岡崎の元応寺までも延焼いたし、丈余の火柱が赤々と東山の空を
焦がす有様は凄まじくも美麗な眺めでございました。 ……ああ、由玄どの、今あなた....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ち、姫とジーグフリードを結びつける機会がきた。それはグンテル王が、ひそかに想いを
焦がすブルンヒルデ女王であって、ブルンヒルデは、アイゼンシュタイン河を隔てた洋上....
「三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
にも念入であった。師団司令部の将校等の立っている向うの方に、火災の煙が上って天を
焦がすところで、その煙がむくむく動くように見えていたものである。 このパノラマ....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
界に急変するのであった。家々の高張、軒提燈は云うも更なり、四ヶ所の大篝火は天をも
焦がすばかりにて、森の鳥類を一時に驚かすのであった。 「又遣られたっ」 「今年は....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
月一日の夜、大震災の火の手はいよいよ逞しく、東京の下町を殆ど焼き尽くしたが、天を
焦がす猛火の反映が、燃ゆる雲となってむらがり立ち、関東平野の西北端にある赤城と榛....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
ねえ、ついこのあいだまでは、おいらは只お前さんを遠目に拝むだけでさ、人しれず胸を
焦がすのが落ちだったもんだが、今じゃどうだい! お前さんのむっちりと白いからだは....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
つ、パッと燃え上る、驚いて足を引っ込めるが、またいつか灰の中に入って、足袋の先を
焦がすのであった。 小屋には牀はない、土の上に莚を敷いたばかりだが、その土は渓....
「北海の白鳥」より 著者:小川未明
い庭頭には、かがり火がたかれました。その炎の影は、この怪しの占い者を照らし、空を
焦がすかと思われるばかりに紅く見えました。 占い者は、じっと祈っていましたが、....