焦げる[語句情報] » 焦げる

「焦げる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

焦げるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
身《おみ》のうちは、一面に気味悪く紫立って、御褥《おしとね》の白綾《しろあや》も焦げるかと思う御気色《みけしき》になりました。元よりその時も御枕もとには、法師、....
寒さ」より 著者:芥川竜之介
げやしませんか?」 保吉の靴はいつのまにかストオヴの胴に触れていたと見え、革の焦げる臭気と共にもやもや水蒸気を昇らせていた。 「それも君、やっぱり伝熱作用だよ....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
かに微光の領域を狭めてゆく。しかし、滝人が家近くまで来ると、どこからとなく、肉の焦げる匂いが漂ってき、今日も猟があり、兄弟二人も、家に戻っているのを知った。十四....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
も、物干に雪の溶けかかった処へ餌を見せても影を見せない。炎天、日盛の電車道には、焦げるような砂を浴びて、蟷螂の斧と言った強いのが普通だのに、これはどうしたもので....
パルチザン・ウォルコフ」より 著者:黒島伝治
女や、子供や、老人の叫喚が、逃げ場を失った家畜の鳴声に混って、家が倒れ、板が火に焦げる刺戟的な音響や、何かの爆発する轟音などの間から聞えてくる。 見晴しのきく....
四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
のではないが、難儀だ。けれども、如何仕様も無い、這って行く外はない。咽喉は熱して焦げるよう。寧そ水を飲まぬ方が手短に片付くとは思いながら、それでも若しやに覊され....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
ちあがる時、かれは粗相の振りをして、燭の火をかれらの着物にこすり付けると、着物の焦げるのがあたかも毛を燃やしたように匂ったので、もう疑うまでもないと思った。 ....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
差しつけたんです。 ぷんと臭ったの。何とも言えない、きなッくさいような、醤油の焦げるような、厭な臭よ。」 「や、そりゃ困りましたね。」と、これを聞いて少年も顰....
南極の怪事」より 著者:押川春浪
の生存期間なり、余の身体はようやく暖かくなれり、されど余の胸のうちは苦悶のために焦げるようなり、とかくする間に火は船尾の方より甲板上に燃え抜けたり、余は夢中に船....
木曽の怪物」より 著者:岡本綺堂
、釜の下は炎々と燃上って、今にも噴飛しそうに釜の蓋がガタガタ跳っている。ヤア飯が焦げるぞと、私が慌てて其の釜の蓋を取ると、中から湯気が真白に噴上げる、其の煙の中....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
若いものの癖として、出たとこ勝負の元気に任せて、影も見ないで、日盛を、松並木の焦げるがごとき中途に来た。 暑さに憩うだけだったら、清水にも瓜にも気兼のある、....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
ふうと、お洲美さんの鼻のつまった時は、お銚子がやがて四五本目で、それ湯を、それ焦げる、それ湯を、さあ湯だ、と指揮と働きを亭主が一所で、鉄瓶が零のあとで、水指が....
審判」より 著者:カフカフランツ
た。やっとあけると、窓の幅と高さとだけ、煤の混じった霧が部屋に流れこみ、かすかな焦げる匂いで部屋をいっぱいにした。雪片もいくらか吹きこんできた。 「いやな秋です....
罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
る。何だかしゅうというような音がする。フレンチは気の遠くなるのを覚えた。髪の毛の焦げるような臭と、今一つ何だか分からない臭とがする。体が顫え罷んだ。 「待て。」....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
と手に入れたのは仁川までの切符。あとは無一文だが、どうにかなるという気持だった。焦げるように暑い夏の最中だった。龍田川丸の甲板に立って思い出深い安治川を離れると....