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「焦る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

焦るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
という悔恨の火が、会えずに帰る北山の背中に執拗に迫り、それを振り切って逃げようと焦る行手には、恐怖が怪獣のように立ちはだかり、ペロペロと法律の赤い舌を出している....
党生活者」より 著者:小林多喜二
りだった。夢では大抵そうであるように、仲々思うように逃げられない。そして気だけが焦る。あ、あっ、あっ、あ、あ……と思うと、そこで眼が覚めた。ジッとしていると、頭....
新生」より 著者:島崎藤村
長から苦しめられて行く彼女の様子が岸本にもよく感じられた。彼の心が焦《あせ》れば焦るほど、延びることを待っていられないような眼に見えないものは意地の悪いほど無遠....
賤ヶ岳合戦」より 著者:菊池寛
勝家の陣へは、苦しくなった信孝からの救援の便が、次から次とやって来る。勝家大いに焦るけれども、容易には此処を通り難い。そこで盛政と相談して、もと、柴田伊賀守の与....
蘆声」より 著者:幸田露伴
は羨ましそうに予の方を見た。 続いてまた二|尾、同じようなのが鉤に来た。少年は焦るような緊張した顔になって、羨しげに、また少しは自分の鉤に何も来ぬのを悲しむよ....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
騒ぐでない。江戸旗本がじきじきに抱いてつかわすのじゃ」 もがき逃れようとして焦るのを軽々と荷物のように運びながら、うしろにおどおどしている恋の二人を随えて、....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
ら、杉田は川上機関大尉の手をおしいただいた。 「うむ、よくいった。ここは敵地だ。焦るな。体力をやしなえ。そして機会がいたったときは、俺と一しょに死んでくれ」 「....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
眼は意味無く動くまでで、鳥は篠むらや草むらに首を突込み、ただ暁の天を切ない心に待焦るるであろう。獣は所謂駭き心になって急に奔ったり、懼れの目を張って疑いの足取り....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
な場合における勝負運は皮肉なもので、勝ちたいと思えば思うほど負け、焦《あせ》れば焦るほど喰い違ってゆくのであります。お絹は身の廻りの、ほとんど総ての物を失ってし....
後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
いますが、微かなりとも島が見えますると、頼りに想う心が出ますので、何うしても気が焦るものでございます。文治も島人も一生懸命になって居りますが、何分|櫓一挺しかご....
学生と生活」より 著者:倉田百三
いのは媚を売る女性のみである。 私の経験から生じる一般的助言としては、「恋愛に焦るな」「結婚を急ぐな」と私はいいたい。二十五歳までの青年学生が何をあわてること....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
がら、一日は二日になり三日になり、ニンシンの知れないうちに胎児をおろして、と思い焦るうちに、未亡人の目にニンシンを見破られてしまった。胎児をおろして尼寺へかけこ....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
ろう」 こう思うにつけても、張教仁は、どうしてももう一度|紅玉を手に入れたいと焦るのであった。彼はそれから尚|頻繁く、北京の内外をさがし廻った。 こうしてい....
地上」より 著者:島田清次郎
った。気象の猛烈な容太郎は秘密な恋愛を嫌って、幾度となく伝右衛門に打ち明けようと焦るのをどうにか宥めて来ていた時に、お信は、容太郎の父であり実姉の夫である伝右衛....
道なき道」より 著者:織田作之助
先立つのだった。 だから、早いこと巧く弾いて、父親から「出来た」と言われようと焦るのだったが、思うように弾けなかった。 夜が更けて来た。 寿子はわっと泣き....