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然く
「然く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
然くの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
が古物だぜ」と、云いかけた舌をちょいと出して、素早く運動帽をかぶったと思うと、突
然くるりと向きを変えて、「一――」と大きく喚《わめ》きながら、チョッキ一つの肥っ....
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
ようともしないで、そのまま暗がりの中を尾行していったが、とうとう終いに幽霊が、突
然くるりと後ろを振り向いて立ちどまりながら、「何ぞ用か?」と詰問するなり、生きた....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
か! いったい、どうしてここから逃げ出すおつもりですかい!」 だのに、右門は依
然くすくすと笑ったままでした。笑いながら、そしてその青白い顔を転じると、格子窓か....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
こにぐったりとからだを投げ出していましたが、と、やにわにむっくり起き上がると、突
然くすくす笑いながらいいました。 「なあ、伝六」 「え?」 「どうやら、おれも焼....
「旅愁」より 著者:横光利一
摺り込むパリの夜の灯の色に、すぎた日の旅の儚ないもの音を聞きとったのか、彼女も突
然くず折れるようにうつ向いたまま暫く顔を上げなかった。
矢代もパリでの二人の日....
「田園雑感」より 著者:寺田寅彦
を認める事ができる。それが消えたあとに残るものは淡い「時の悲しみ」である。 自
然くらい人間に親切なものはない。そしてその親切さは田舎の人の親切さとは全く種類の....
「庭の追憶」より 著者:寺田寅彦
の木が一本あった。それはどこかの山から取って来た熊笹だか藪柑子だかといっしょに偶
然くっついて運ばれて来た小さな芽ばえがだんだんに自然に生長したものである。はじめ....
「十姉妹」より 著者:山本勝治
行った。慎作も大跨になり延びあがる様にして中心をすかし見たが、二三間先の宮崎が突
然くるっと廻って慎作を睨み、何か訳の分からない叫けびをあげたので、中心に何がある....
「平塚・山川・山田三女史に答う」より 著者:与謝野晶子
母性保護も私のいう意味の経済的独立も、現実の問題としては「共に結構であり、両者は
然く両立すべからざる性質のものでなくて、むしろ双方共に行われた方が現在の社会にお....
「決闘」より 著者:神西清
フォン・コーレンが同意した。 沈黙が来た。歩き廻っていたウスチモーヴィチが、突
然くるりとラエーフスキイの方を向いて、息を彼の顔に吹きかけながら小声で言った。 ....
「昭和遊撃隊」より 著者:平田晋策
て造ったもので、ドイツが自慢する豆戦艦『ドイッチュランド』のデーゼル機関さえ、全
然くらべものにならないのだ。 『最上』はこの優秀な機関を据えつけたために、その行....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
隅から中村芝翫の舞台顔を仰ぎ視たときに、わたしの子供心にきめていた従来の標準は全
然くつがえされてしまったように感じられた。それに対して、団十郎などの顔はなんだか....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
のような若い者が」
すると、紹由が、
「遊廓で年をいうやつがあるか」
と、突
然くだけた調子でいって、ワハハハハと猫背の肩をゆすぶって笑った。
もう茶や菓子....