然しながら[語句情報] »
然しながら
「然しながら〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
然しながらの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
遠慮なく私を踏台にして、高い遠い所に私を乗り越えて進まなければ間違っているのだ。
然しながらお前たちをどんなに深く愛したものがこの世にいるか、或はいたかという事実....
「党生活者」より 著者:小林多喜二
。そして一旦《いったん》つかまったら四年五年という牢獄が待ちかまえているわけだ。
然しながら、これらの犠牲と云っても、幾百万の労働者や貧農が日々の生活で行われてい....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
だ。主義の為めには生命を捨ててもその生命の緊張を保とうとするその心持はよく解る。
然しながら私には生命を賭しても主張すべき主義がない。主義というべきものはあるとし....
「ある抗議書」より 著者:菊池寛
づくにつれ、生に対する執着が却って段々強くなり、必死に運命から逃れんとする無益な
然しながら懸命の身悶えなどを考えると、私は姉夫婦の横死以来、鬱積して居た悲慣を漸....
「姉川合戦」より 著者:菊池寛
面々明日の軍に打込の軍せんと思ふべからず、偏に敵陣へ忍び入らんことを心掛くべし。
然しながら敵陣へ忍び入り、冥加有て信長を刺し有るとも敵陣を遁れ帰らんことは難かる....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
う。この上は神聖な裁判官の審きを受ける許りだ。犯した罪は悔い改めれば消えて終う。
然しながら国の定めた掟によって罰は受けなければならない。その覚悟はあるだろうな」....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ず莨を取り落すと、 「ああ、貴方は実に怖ろしい人だ!」と呻く様に朔郎が嘆息した。
然しながら、法水にとっては、その真相も、一つの事務的な整理に過ぎなかったのであっ....
「青春論」より 著者:坂口安吾
る。 このような躾けの良さは、必ずしも生家の栄誉や富に関係はなかろうけれども、
然しながら、生家の栄誉とか、富に対する誇りとか、顧みて怖れ怯ゆるものを持たぬ背景....
「血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
双方なりが否定されなければならない。母が確実であれば、無論父は他にあるのである。
然しながら、父がA型、母がO型で、子がA或いはO型の場合、その両親は否定されない....
「アーニイ・パイルの前に立ちて」より 著者:小林一三
う。そして、輝かしい戦功にともなう物語は、読者をして充分に満足せしめたであろう。
然しながら、その数量において、上長官は兵士軍属の何十万分の一にすぎないのである。....
「罠に掛った人」より 著者:甲賀三郎
った。清吉はよくその事情を知っていたので、自殺して詫びるより他はないと思って、茫
然しながら歩き廻っていた。そのうちにふと気がつくと、彼は一軒の大きな家の前に立っ....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
に藤十郎の顔を打ち仰いだ。藤十郎の声音は、今までとは打って変って、低いけれども、
然しながら力強い響を持っていた。 「お梶どの。別儀ではござらぬが、この藤十郎は、....
「秘密の相似」より 著者:小酒井不木
すもの、若しあなたが私を愛して下さるならば、きっと御許し下さるだろうと思います。
然しながら、こうして一旦秘密を打明けました上は、もはやあなたの御手許へは帰れなく....
「呪われの家」より 著者:小酒井不木
かと、冗談半分に提言したが、それ以来、「特等訊問法」の名が世間に伝わるに至った。
然しながら、まだ世間には、この「特等訊問法」がどんなものであるかを知って居る人が....
「囚われたる現文壇」より 著者:小川未明
イを見よ、ミレーを見よ、みな斯くの如き信仰の下に戦いを戦って来ているではないか。
然しながら現文壇の斯うした安易なだらけ切った状態はそう何時までも永続し得るもので....