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「然空〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

然空の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
急に消えてしまった。 それが見えなくなると、今度は華奢《きゃしゃ》な女の足が突然空へ現れた。纏足《てんそく》をした足だから、細さは漸《ようや》く三寸あまりしか....
蠅男」より 著者:海野十三
と開いた。「あッ、空っぽや」 「ウム、僕の思ったとおりだッ」大トランクの中は、果然空っぽであった。帆村は、そのトランクの中に頭をさし入れて、底板を綿密にとりしら....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の堆塵に触れると、何よりまず、その中の石灰分に滲透してゆく。したがって、内部に当然空洞が出来るだろうから、終いには支えきれず墜落してしまうのだ。つまり、その物質....
鎖骨」より 著者:寺田寅彦
頭へじゃぶじゃぶ水をかけたまでは覚えていたが、それからあとしばらくの間の記憶が全然空白になってしまった。そうして、今度再び自覚を回復したときは、学校の授業を受け....
物売りの声」より 著者:寺田寅彦
「丸葉柳」のほうはどんな物だか、何に使うのか、それについては自分の記憶も知識も全然空白である。 売り声の滅びて行くのは何ゆえであるか、その理由は自分にはまだよ....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
の前へむずと膝を突くとブッツリ月の輪へ山刀を刺した。と、その時、どうしたものか俄然空を仰いだが、 「お母様!」 と一声叫ぶとそのままグッタリ仆れてしまった。 ....
幽霊船の秘密」より 著者:海野十三
のうえに櫂もなければ、人影もないといったが、いまよく見てみると、ボートの中は、全然空っぽではなかった」 船長は、わざとまわりくどいいい方をしているようであった....
最古日本の女性生活の根柢」より 著者:折口信夫
の移住以前の故土を、譬喩的に母なる国土としたのだと考えていたが、そうではない。全然空想の衣を着せられて後は、恋しい母の死んで行っている所というふうに考えられたで....
醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
は見っともないけど、運はいいかもしれないよ。」 そんなお喋りをしていますと、突然空中でポンポンと音がして、二|羽の雁は傷ついて水草の間に落ちて死に、あたりの水....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
れはてた。よくそんなことが不意に彼を襲った。歩いてる時、階段を上りかけてる時、突然空虚が開けてきた。彼はもう何にも考えていないようだった。そして我に返ってみると....
金銭無情」より 著者:坂口安吾
ぢやないか、さう考へてゐたのはツイ先日までのこと、だから内心ビクビクしても案外傲然空うそぶいて課長を怒らして常に後悔に及び恐怖に悩みながら、ともかくウハベはいつ....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
た。するとかれこれ半時ばかり経って、深山の夜気が肌寒く薄い着物に透り出した頃、突然空中に声があって、 「そこにいるのは何者だ」と、叱りつけるではありませんか。 ....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
をよ?」 「大変もない怪我という奴を」 「うるせえヤイ! 青瓢箪め!」 拳が突然空に流れた。素早く京一郎は身をかわしたが、その手には拳が握られていた。 「ただ....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
してしまう河や池――全くこの辺のすべてのものは神秘と奇怪とに充ちていた。ある夜突然空の上から微妙な音楽が聞こえて来た。多数の男女の笑う声も。しかしもちろん姿は見....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
していたのでしょうか。アミタール反応では横浜の進駐軍につとめていたといゝますが依然空白です。またどうして記憶喪失症になったのでしょうか? 外的なショックではなく....