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「焼け跡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

焼け跡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
をかぶっていられないので、かれは自分の身分を名乗って、家主《いえぬし》立ち会いで焼け跡をあらためた。近所の人達が早く駈け付けて、すぐ叩き毀してしまったので、半焼....
深夜の市長」より 著者:海野十三
いて、明るい余燼の火を浴びているのが見えたのだが、そこはやはりプスプス燃えている焼け跡の中だから、踏みこんでいっては取れない。何か棒切れはないかというので、二人....
赤外線男」より 著者:海野十三
に用を足した。 大きい鏡があったので、ダリアはそこで繃帯を気にしながら、硫酸の焼け跡のある顔へ粉白粉を叩いた。そして入口の扉を押して、廊下に出た。その途端にダ....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
えていたのである。 ◯今朝、余燼が空中に在るせいか、天日黄ばんで見えたり。 ◯焼け跡も疎開も知らぬ桜哉 ◯分解の敵機も散るや花の雲 ◯去る四月五日、永田徹郎....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
別れを告げてしまった。かれらは焼けて砕けて、もとの土に帰ったのである。九月八日、焼け跡の灰かきに行った人たちが、わずかに五つ六つの焦げた人形を掘り出して来てくれ....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
シの無い扮装をして足だけ泥にしているのや、テンヤワンヤの姿をした働き手が裏口から焼け跡へと出たり入ったりしていた。小僮が各自に焼残りの商品を持てるだけ抱えては後....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
お千は、この一伍一什を、黙々として、ただ気の毒そうに眺めていた。 「家族はまだ、焼け跡へはかえって来てないらしい。――じゃ、こんどはいよいよ、あんたの家の方へ行....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
みもわすれてしまうようにもなったのではあったが、度々神戸も空襲され、すぐ近所まで焼け跡になり、死傷者が続出すると、私の心の隅に、ふたたび死ということが、鮮明に刻....
帝銀事件を論ず」より 著者:坂口安吾
、まったくヤッカイ千万な役立たずめ、というグアイに始末をしている人夫たち、それが焼け跡の天真ランマンな風景であった。まったく原色的な一つの健康すら感じさせる痴呆....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
って見れば、ほぼ推量される。鶴見はその事をひどく面白いように思っている。戦災直後焼け跡に見舞に来て、それだけの余裕を保っていた。その証拠がたまたまこの小さな伝票....
」より 著者:岡本綺堂
、邦原君も深く気にも留めずにいたのであるが、その届け主は今に至るまでわからない。焼け跡の区画整理は片付いて邦原君一家は旧宅地へ立ち戻って来たので、知人や出入りの....
恨みの蠑螺」より 著者:岡本綺堂
と同じように見てあるいた。八幡の本社はこの二月の火事に類焼して、雪の下の町もまだ焼け跡の整理が届かないのであるが、江の島開帳を当て込みに仮普請のままで商売を始め....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
て建てたバラック都市ですら、焼け残った都市よりも立派なのだ。 焼け残った都市が焼け跡のバラック都市を指して、この戦争の惨禍を見よ、戦争の悲しさを見よと言えない....
あほう鳥の鳴く日」より 著者:小川未明
行方が、わからなくなりました。男はどんなにか、そのことを悲しんだでしょう。彼は、焼け跡に立って、終日、あほう鳥の帰ってくるのを待っていました。しかし、とうとう、....
茂吉の一面」より 著者:宇野浩二
、ニコニコしながら、云った。 ――はじめは、茂吉が、或る時、窮したあまり、青山の焼け跡の地所を売ることを交渉したり、自分の肖像画を売ってもらおう、と思って交渉し....