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焼け野
「焼け野〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
焼け野の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海底都市」より 著者:海野十三
《ろうばい》におちいらないわけにいかなかった。辻ヶ谷君なる学友は、今もあの東京の
焼け野原に、時間器械をまもって計器を読んでいることとばかり思っていたのに、こうし....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
のこと。場所は、東京の真中新橋の上にちがいないのであるが、満目ただ荒涼たる一面の
焼け野原で、わずかに橋があって「しんばし」の文字が読めるから、これが銀座の入口で....
「出家物語」より 著者:坂口安吾
を買う算段もつかなくなった。 戦争になったら、さぞ困るだろうと思っていたのに、
焼け野原がひろがるほど、もうかる。物価が上るほど、もうかる。終戦直後の半年ぐらい....
「天皇陛下にさゝぐる言葉」より 著者:坂口安吾
方は、充分諷刺に値して、尚あまりあるものだと思っている。 戦争中、我々の東京は
焼け野原となった。その工場を、住宅を、たてる資材も労力もないというときに、明治神....
「帝銀事件を論ず」より 著者:坂口安吾
のはむしろ戦争の匂いである。私は、外地の戦場は知らないのだが、私の住む町が一望の
焼け野となり、その二カ月ほど後に再び空襲を受けて、あるアパートの防空壕へ五〇キロ....
「二合五勺に関する愛国的考察」より 著者:坂口安吾
も宿命の子供で、ほんとうの自我ではないらしい。それは当然の話で、われわれの周囲は
焼け野原であり、交通機関はヨタヨタし、要するに、バクダンはなくなったが、まだわれ....
「インテリの感傷」より 著者:坂口安吾
らぬのである。どこに進歩性があるのであるか。 もし歴史というものを読むならば、
焼け野となった敗戦国日本というものが、稀有なほど快速な復興途上にあることが分る筈....
「日月様」より 著者:坂口安吾
ンなくバラまかれるのだから疎開道路などは一文の値打もないのである。後日完全無欠の
焼け野原となり、もうけたのは町会長とか、そういう連中で、疎開でねじ倒した材木だけ....
「釣り師の心境」より 著者:坂口安吾
あったが、私は焼野原をテクテク歩いて、羽田の飛行場の海へ、潮干狩りに行った。四面
焼け野原となって後は、配給も殆どなく、カボチャや豆などを食わされ、さすがに悲鳴を....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
敗戦後は、表側へ露出してきただけなのである。 しかし、日本の主要都市があらかた
焼け野原となって、復興の資材もない敗戦後の今日、裏側と表側が一しょくたに同居して....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
、仕方なく、大迂回して、風下から銀座の真上の路へでる。眼下一帯、平地はすでに全く
焼け野となって燃えおちているのである。銀座もなく糸川べりもない。そのとき八時であ....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
しない。 自分の住む隣の町内がやられて三日もたつと、一年前から、隣り町はそんな
焼け野原であったような気持になるのであった。 駅前の繁華な商店街を、疎開で叩き....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
焼夷弾の大空襲は三月十日からはじまり、ちょうど桜の満開のころが、東京がバタバタと
焼け野原になって行く最中であった。 私の住んでるあたりではちょうど桜の咲いてる....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
奪の目標になっている都の巷には、剣と火との禍いが幾たびか繰り返されて、町の大半は
焼け野になってしまった。塩冶をほろぼして、敵にはあざけられ、味方には憎まれた高師....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
いることであろう。第二に僕の思い出すのは池のまわりの見世物小屋である。これは悉く
焼け野原になった。第三にみえる浅草はつつましい下町の一部である。花川戸、山谷、駒....