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焼印
「焼印〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
焼印の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の盗賊」より 著者:太宰治
ったとたん、世の中は、にやにや笑って私の額《ひたい》に、「救い難き白痴」としての
焼印を、打とうとして手を挙げた。いけない! 私は気づいて、もがき脱れた。危いとこ....
「火の鳥」より 著者:太宰治
ていながら、どんどん押し流されてしまって、いつのまにか、もう、世の中から、ひどい
焼印《やきいん》、頂戴してしまっているの。さちよなんか、もっとひどい。あの子は、....
「おしゃれ童子」より 著者:太宰治
ことつづきました。そうして、間もなく少年は、左翼思想をさえ裏切りました。卑劣漢の
焼印を、自分で自分の額《ひたい》に押したのでした。お洒落の暗黒時代というよりは、....
「真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
ので」
三「何《ど》う」
と手に把《と》って見ると、鎌の柄に丸の中に三の字の
焼印《やきいん》が捺《お》してあるのを見て、
三「甚藏、是は己《おれ》の家《う....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
潰《へ》しゃげてしまった、あの四肢《てあし》の姿が、私の心にこうも正確な、まるで
焼印のようなものを刻みつけてしまったのです」 それこそ、滝人一人のみしか知らぬ....
「蠅男」より 著者:海野十三
んな。お散歩どすか」 奥から飛んで出てきた仲働きのお手伝いさんが、慌てて宿屋の
焼印のある下駄を踏石の上に揃えた。 「ああ、この辺はいつもこんな臭いがするところ....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
眺め、眺望よきこと言語に絶す。この辺の景色北アルプス第一ならむ。西岳小屋にて休み
焼印を押し、昼食をなす。途中広島の人(東京の学校にいる)東京の人(官吏)と三人と....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ら戦地の方へ赴く諏訪分社の禰宜が通行を自由にするためには、宿役人の署名と馬籠宿の
焼印の押してある一枚の木札が必要であった。半蔵はすでにその署名までして置いてあっ....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
何世紀も前の過去から刻みつけられた印象は、都会という大なる集団の上にも、不可拭の
焼印を押していなければならないはずだ。東京市の大きい美しさは、フッド火山を有する....
「桜の園」より 著者:神西清
てるかい、この本棚の歳をさ? ついこないだ、一ばん下の引出しを抜いて見たらばね、
焼印で年号が押してあるんだ。ちょうど百年まえにできたんだよ。どうだい、ええ? さ....
「誤った鑑定」より 著者:小酒井不木
ると解釈した。且、彼女はそのとき妊娠中であったが、獄中で子を生んでは、生れた子に
焼印を捺すようなものであるから、それやこれやで彼女は少なからず煩悶した。 「この....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
特のぼろを交ぜてつくった、ばかりでなく、その上へご丁寧にも、人に盗まれまいために
焼印まで捺した草履だった。 Rのような、かかるコソ泥は、決してどこの村にも珍し....
「かもじの美術家」より 著者:神西清
を殺めた報いで四十三の鞭を受けましたが、とうとう堪えとおして――生きていたので、
焼印をおされて懲役にやられましたよ。お屋敷の男衆で手のすいていた人たちは、みんな....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
け、つづいてセルゲイの両肩にもきまった本数の鞭をふるった上、彼の美しい顔に徒刑の
焼印を三つおしたのである。 そうした処刑のあいだ、世間の同情はどうしたわけだか....
「頭蓋骨の秘密」より 著者:小酒井不木
の小学校のそれであって、懐にある蟇口の中はからっぽであり、下駄には「草野」という
焼印が捺されてありました。 その山は××村からF町へ行く途中にありますが、死体....