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焼場
「焼場〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
焼場の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「のんきな患者」より 著者:梶井基次郎
というのだった。その女には肺病の弟があってそれが死んでしまった。そしてそれを村の
焼場で焼いたとき、寺の和尚《おしょう》さんがついていて、 「人間の脳味噌の黒焼き....
「一夜」より 著者:夏目漱石
さえ描く隙《ひま》なきに乱れてしまう。「荼毘《だび》だ、荼毘だ」と丸顔の男は急に
焼場の光景を思い出す。「蚊《か》の世界も楽じゃなかろ」と女は人間を蚊に比較する。....
「蠅男」より 著者:海野十三
レに似とるやないか」 「えッ、アレいうたら何のことや」 「アレいうたら――そら、
焼場の臭や」 「ああ、
焼場の臭?」お手伝いさんは白いエプロンを急いで鼻にあてた。....
「メデューサの首」より 著者:小酒井不木
べてが偶然の集合でありながら、わたしはなんとなく彼女の死に関係があるように思い、
焼場で卒倒してから一時頭がぼんやりしましたので、とうとう医業を廃することになりま....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
い」 「なるほど、なるほど。それは名案の芝居ですなあ。しかし、その棺桶をそのまま
焼場へ持っていかれては、芝居だということが分かってしまいますねえ。なにしろ、棺の....
「若菜のうち」より 著者:泉鏡花
らの刈あとにこぼれた粟の落穂とともに、風のないのに軽く動いた。 麓を見ると、塵
焼場だという、煙突が、豚の鼻面のように低く仰向いて、むくむくと煙を噴くのが、黒く....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
近の新聞記事にはそんな朗かな報道がなかったことから推して、かれ鼠谷の死体は順調に
焼場の煙突から煙になって飛散したに違いあるまい。すると……? すると八十助は、....
「障子の落書」より 著者:寺田寅彦
病室の粗末な寝台の上で最期の息を引いた人の面影を忘れたのでもない、秋雨のふる日に
焼場へ行った時の佗しい光景を思い起さぬでもないが、今の平一の心持にはそれが丁度覚....
「稀有の犯罪」より 著者:小酒井不木
の男が持って行ったのであって、何の目的であるのか判らないということでした。なお、
焼場の死体の臓器を盗む犯罪はよくあるが、法医学教室へ強奪に来るのは稀有の犯罪だと....
「おせん」より 著者:邦枝完二
だ。あんな匂の中へ這入っちゃいかれねえッてのよ」 「あたしだっていやだよ。まるで
焼場のような匂だもの。きのうだって、髪結のおしげさんがいうじゃァないか。お上さん....
「死の接吻」より 著者:小酒井不木
がるものである。 どこの病院も伝染病院を兼ねさせられ忽ち満員になってしまった。
焼場が閉口し、墓場が窮屈を感じた。葬式はどの街にも見られた。日本橋の袂に立って、....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
った、長襦袢は、土にこぼれて、火とともに乱れたのである。(註。二人して火を吹くは
焼場なりという俗信あり。) 「ちっとも構やしない、火葬場ですもの。……寝酒ぐらい....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
。』アンドレイ、エヒミチは思わず慄然とした。 凄然たる月、塀の上の釘、監獄、骨
焼場の遠い焔、アンドレイ、エヒミチはさすがに薄気味悪い感に打たれて、しょんぼりと....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
すのは何だか気の毒にも考えた。夜中頃に棺桶を葬礼屋が持って来た。そして、今夜中に
焼場に持って行かねば暑い夏の日に一日置くと臭くなると忠告したので急に死体を片づけ....
「三稜鏡」より 著者:佐左木俊郎
等かの形態で娘を残して置き度かった。そこで私は、娘の死体を詰めてある棺をいよいよ
焼場へ運ぶと云う一時間ばかり前になってから、夜がまだ明けきらないのと、葬儀人夫が....