煉獄[語句情報] » 煉獄

「煉獄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

煉獄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青木の出京」より 著者:菊池寛
身の恨みを忘れて、青木のために悲しまずにはおられなかった。 が、彼にとっては、煉獄といってよいほどの、苦しい生活を嘗めていたのにもかかわらず、青木はほとんど変....
勲章を貰う話」より 著者:菊池寛
彼は、そのすべてが許され、そのすべてが是認されたようなのびのびした心持であった。煉獄を通ってきた後の朗かな心持であった。 時々、人を殺したということが、彼の心....
十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
ような呻り声が発生し、壁体は大砲をうったときのようにピリピリと反響した。 紫の煉獄! 住民の脂汗と呻吟とを載せて、音楽浴は進行していった。そして三十分の時間....
ルバイヤート」より 著者:小川亮作
束に手を出すな、 遠くきく太鼓はすべて音がよいのだ。 91 なにびとも楽土や煉獄を見ていない、 あの世から帰ってきたという人はない。 われらのねがいやおそれ....
渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
を加え合って、彼の絶望を一層大きなものにする今の疑惑は、彼自身の力では逃れ得ない煉獄のようにさえ見えて来たのである。 K県での忘れ難い印象を、或は一種の病的《....
詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
。彼等の側から言ってみれば、この「あるがままの現実世界」は、邪悪と欠陥とに充ちた煉獄《れんごく》であり、存在としての誤謬《ごびゅう》であって、認識上に肯定されな....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
れた黒髪に、雪なす小手を翳して此方を見送った半身の紅は、美しき血をもって描いたる煉獄の女精であった。 碓氷の秋は寒かった。 八 藤助は語り継い....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
の祖先の一人、おそらくその所有者たる人は、ダンテの筆によって、かのインフェルノの煉獄の永劫呵責の相伴者として描き出されたものであることを、想いおこされるのであっ....
或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
れから面倒くさい理屈になって、私ほんとに弱ってしまいましたわ。恋愛は人間の一種の煉獄で、それに飛び込むには、過去を懺悔し合い赤裸々になって、なお未来を誓うだけの....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
けぼの》の色ほのかにて、 汝《な》が魂は身内に眠れる時…… ――神曲、煉獄の巻、第九章―― 一 うち湿りたる濃き靄《もや》の 薄らぎそ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
一家の者が存在の理由としてるところのもの、そしておのれの生活を早くもこの世からの煉獄《れんごく》となしてるところのもの、すなわち強力な伝統、真正な主義、無味乾燥....
死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
登場する番になるのを待ちながらまず見物人となっている囚人どもだった。地獄に面した煉獄の風窓にしがみついている受刑の魂みたいだった。 彼らは皆、まだ何もない中庭....
人生における離合について」より 著者:倉田百三
人生における別離には死別にも生別にもさまざまの場合があって、いちいちの例は涙の煉獄である。キューリー夫人のように自分の最愛の夫であり、唯一の科学の共働者である....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
、私たちが犯したような罪……動物的恋愛の罪のために、神様を悲しませた人たちです。煉獄の境いから来た霊魂たちです。しかしそのために、神様から追放されているのではあ....
ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
給うた。 罪のつぐのいをはたしておらぬ私の霊魂は死と結婚した瞬間に肉体を離れて煉獄に新婚旅行をするであろう。そこには烈しい苦しみと希望とがある。その苦しみによ....