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煎薬
「煎薬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
煎薬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
名人がおどろくべきことをいって立ちあがりました。 「医者の駕籠だな! たしかに、
煎薬《せんやく》のにおいだ。どこかで何かが何かになったかもしれねえ。ぱちくりして....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
を執《と》る気にはまるでなれなかった。そのうちに嘔気《はきけ》が来た。 始めは
煎薬《せんやく》に似た黄黒《きぐろ》い水をしたたかに吐いた。吐いた後《あと》は多....
「藤棚の陰から」より 著者:寺田寅彦
に思い浮かべられる。松脂は痰の薬だと言って祖母が時々飲んでいたのである。 この
煎薬のにおいと自分らが少年時代に受けた孔孟の教えとには切っても切れないつながりが....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
なかった。しかし私の宿は大変ハイカラなもので洋館で、そして畳敷でお茶の代りに甘い
煎薬のようなコーヒーをさえ飲ませてくれた。 町は博覧会のためにかなり賑わってい....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
るようなことをしないようにと、医者は人々に頼んだ。彼はまた規那皮《きなひ》だけの
煎薬《せんやく》と、夜分に熱が出た場合のため鎮静水薬とを処方した。そして立ち去る....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
彼はいつも自ら「いた、いたい!」とうめいていた。震えを帯びてる老衰した姿で病人に
煎薬《せんやく》の茶碗《ちゃわん》を差し出してる所は、見るも痛ましいほどだった。....
「碑文」より 著者:豊島与志雄
とがありました。 崔範は身体が弱く、外出することもあまりなく、いつも香りの高い
煎薬をのんでいました。僅かな感動にも頬から血の気が去りました。 初夏の暑い或る....
「甲州鎮撫隊」より 著者:国枝史郎
を開くようにした。 二人は部屋へ這入った。夜具が敷かれてあり、枕元に、粉薬だの
煎薬などが置いてあるのを見ると、女は、ちょっと眉をひそめたが、総司が、その夜具の....
「マーカス・ショーとレビュー式教育」より 著者:寺田寅彦
教育も甚だ結構だということになるのである。 そうかと云ってまた無理やりに嫌がる
煎薬を口を割って押し込めば利く薬でももどしてしまい、まずい総菜を強いるのでは結局....
「村井長庵記名の傘」より 著者:国枝史郎
症労咳だからな」 形ばかりに脈を見ると。 「今日は大いによろしゅうござる。どれ
煎薬でも差し上げましょう。……ところで何時かお尋ねしようと、窃かに存じて居りまし....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
るのへ、烈しく手を振って、制した。そして、病間へ入ると――其処に立っている屏風、
煎薬の臭、恐ろしいような沈黙――それから、夜具の端、そんなものが、悉く、久光の心....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
ったが、頗る頑固な旧弊人で、洋医の薬が大嫌いで毎日持薬に漢方薬を用いていた。この
煎薬を調進するのが緑雨のお父さんの役目で、そのための薬味箪笥が自宅に備えてあった....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
あんせいおおじしん》の事を記載せし『安政見聞録』を見るにこの変災を報道記述するに
煎薬《せんやく》「妙《みょう》ふりだし」をもぢり、または団十郎『暫《しばらく》』....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
ではない。しかし私はここに不衛生なる裏町に住んでいる果敢ない人たちが今なお迷信と
煎薬《せんじぐすり》とにその生命《せいめい》を托しこの世を夢と簡単にあきらめをつ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
義だ。漢法の方が東洋人には適しているよ。」 「そうかなあ。」 「そうだと思うね。
煎薬というものは微妙なものだよ。たとえば風邪の薬にしたって胃の薬も腸の薬も適度に....