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煙たい
「煙たい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
煙たいの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「明暗」より 著者:夏目漱石
のも、実は必要以外にこんな魂胆が潜んでいたからでもあった。それでさえ彼はどこかに
煙たいところをもっていた。少くとも彼女に対する内と外にはだいぶんの距離があった。....
「わが町」より 著者:織田作之助
のせいばかりでないとおたかは胸痛く見たが、どういうわけかおたかの声は、 「えらい
煙たいやないか」 と、叱りつけるようだった。 大分経って、義枝の下の定枝を貰....
「恭三の父」より 著者:加能作次郎
?」と恭三の母は伸び上つて庭の方を見た。 「おれ様や! おやまア、こりゃ何ちゅう
煙たいこっちゃいの、咽喉ア塞って了うがいの。」 「うむ権六さか。何うも早や蚊でな....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
る。どうかすると慶喜の声望は将軍家茂をしのぐものがある。これは江戸幕府から言って
煙たい存在にはちがいない。慶喜排斥の声は一朝一夕に起こって来たことでもないのだ。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
しながら、お松の面《かお》に疑いの眼を向けました。 「いいえ」 お松は見られて
煙たいような心持です。 「お長屋へあの乳呑子《ちのみご》を見に行くと言っておいて....
「今日の生活と文化の問題」より 著者:宮本百合子
明るさ、醜いものより美しさに近づいたものを考えているのだと思う。昔ながらの煽げば
煙たいへっついでも、幾らか改良を加えれば、それに文化という字をつけて文化竈と呼ぶ....
「私たちの建設」より 著者:宮本百合子
の手足まといになりすぎる程物の道理が判らなくても困るが、余りはっきりしすぎて男が
煙たいほどでも亦困る、と。その基準で、いわゆる家事科目を中心とした、女子教育の基....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
だ吝ったれた時間を夫婦|喧嘩に費すという身分ででもあれば、私は、大阪の土地くらい
煙たい階級のいない、のんきな、明るい、気候温和にして風光|明媚なよいとこはないな....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
じられないリリしさだが、童女めく痴呆さが色気をつくっている。しかし総じて悪童には
煙たいような奥方だ。 長平は自分の話し方が軽薄だったので、礼子が敵意を見せたの....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
ているわ、出るわ、出るわ、ほじくればキリがないやね。芳男と修作は前の番頭の加助が
煙たいから、ワナにかけて、追いだしたという説があるね」 大そうネタを仕込んでく....
「魔像」より 著者:林不忘
ていたが、大岡様! という名を聞いては、天童利根太郎も鏡丹波も、どっちかというと
煙たいほうだ。サッと潮が退くように引き上げたので、喬之助の三人組も、急いでその場....
「ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
姓家は、軒なみに、病人がごろごろしているんだ。……いやその不潔なこと、臭いこと、
煙たいこと。ゆかべたには仔牛が、病人と同居しているし……仔豚までそのへんを、うろ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
、あつい」
と今度は呟く。
「もうよせ」
草を投げる者へ向って、植田良平が、
煙たい顔して叱った。
そんなことをしている間に半刻は経っていた。
「もうやがて....
「婚期はずれ」より 著者:織田作之助
のせいばかりでないと、おたかは胸痛く見たが、どういうわけか、おたかの声は、えらい
煙たいやないかと、叱りつけるようだった。 次の縁談があるまで半年待った。こんど....