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「煙波〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

煙波の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
女の決闘」より 著者:太宰治
解説を附して在りますが、曰《いわ》く、「地震の一篇は尺幅《せきふく》の間に無限の煙波を収めたる千古の傑作なり。」 けれども、私は、いま、他に語りたいものを持っ....
竹青」より 著者:太宰治
|蜿蜒と天際に流れ、東洋のヴェニス一|眸の中に収り、「わが郷関何れの処ぞ是なる、煙波江上、人をして愁えしむ」と魚容は、うっとり呟いた時、竹青は振りかえって、 「....
惜別」より 著者:太宰治
に、向山に登り仙台全市街を俯瞰しては、わけのわからぬ溜息が出て、また右方はるかに煙波|渺茫たる太平洋を望見しては、大声で何か叫びたくなり、若い頃には、もう何を見....
愚禿親鸞」より 著者:西田幾多郎
立ちて、動かざること巌《いわお》の如き日蓮上人の意気は、壮なることは壮であるが、煙波|渺茫《びょうぼう》、風|静《しずか》に波動かざる親鸞上人の胸懐はまた何とな....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ずなり、それにまたもや一陣の霧が、一むれ襲うて来たものですから、四辺《あたり》は煙波浩渺《えんぱこうびょう》たり、不破の関守氏の懐古癖が充分に昂上を見たと覚えて....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
たる海の流るることを認めました。 清澄の茂太郎は、房総第一の高山の上に立って、煙波浩渺として暮れゆく海をながめて、茫然《ぼうぜん》として立ちつくしていましたが....
東上記」より 著者:寺田寅彦
客の話柄を賑わす。これより急行となりたれば神奈川鶴見などは止らず。夕陽海に沈んで煙波|杳たる品川の湾に七砲台|朧なり。何の祝宴か磯辺の水楼に紅燈山形につるして絃....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
、しずまりかえって横たわり、こっちの様子をうかがっていた。あたりを通る船もなく、煙波は茫々と見渡すかぎり、夕暮れの微光に煙っていた。 では不幸な八幡丸は、その....
南国太平記」より 著者:直木三十五
。潮路、はあーるかに、見渡せばあー」 扇が二つ入った。 「取梶、面梶、刀鍛冶。煙波、渺々《びょうびょう》たる海の面、埋まったりや、数万艘、二引両、四目結、左巴....
書記官」より 著者:川上眉山
上を押し分けて行く。松が小島、離れ岩、山は浮世を隔てて水は長えに清く、漁唱菱歌、煙波縹緲として空はさらに悠なり。倒れたる木に腰打ち掛けて光代はしばらく休らいぬ。....
蒼白い月」より 著者:徳田秋声
たのやよって、淡路へ渡ってみるといいのや」雪江はパラソルに日をさえながら、飽かず煙波にかすんでみえる島影を眺めていた。 時間や何かのことが、三人のあいだに評議....
三国志」より 著者:吉川英治
ていた。 水びたしの帆を張って、徐盛がふたたび追いかけようとした時は、もう遠い煙波の彼方に、孔明の舟は、一|鳥のように霞んでいた。 「徐盛。むだだ。やめろやめ....