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煮える
「煮える〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
煮えるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
おぬし、女が欲しいでの。」と、のっけから鼻で笑ったと云います。新蔵はじりじり業の
煮えるのをこらえながら、「欲しいからこそ、見て貰うんです。さもなけりゃ、誰がこん....
「或る女」より 著者:有島武郎
あなたはわたしの命なんだ。命なんです」
といううちにも、その目からはほろほろと
煮えるような涙が流れて、まだうら若いなめらかな頬《ほお》を伝った。膝《ひざ》から....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
がえ。」と耳を貫く。……称名《しょうみょう》の中から、じりじりと脂肪《あぶら》の
煮える響《ひびき》がして、腥《なまぐさ》いのが、むらむらと来た。 この臭気《し....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
ょぼ一風は、しわりごわりと吹いて来る)と田越村一番の若衆が、泣声を立てる、大根の
煮える、富士おろし、西北風の烈しい夕暮に、いそがしいのと、寒いのに、向うみずに、....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
つまでも苦しみは続くのだ。ああ永い間苦しんだなあ」 清水の滴たる音がした。油の
煮える音がした。龕の油が
煮えるのであろう。 隣室から月子の声がした。 「寝台へ....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
ていた。白と黒との碁盤形、それに畳まれているのである。 シン、シン、シンと湯の
煮える音! それが唯一の音であった。 が、もう一つ音がした。ドーン、ドーンとい....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
ごとき人気を博した。 極暑の、旱というのに、たといいかなる人気にせよ、湧くの、
煮えるのなどは、口にするも暑くるしい。が、――諺に、火事の折から土蔵の焼けるのを....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
、口惜いか、悲いか、可哀なんだか、ちらちらと白露を散らして泣く、そら、とろとろと
煮えるんだね。嗅ぐさ、お前さん、べろべろと舐める。目から蝋燭の涙を垂らして、鼻へ....
「開運の鼓」より 著者:国枝史郎
き終えるといつものように釜へ移しに縁を廻って厨へ行った。竈の前へ片膝を突いて飯の
煮えるのを待ちながらも手からは書物を放さなかった。武経七書を読んでいるのである。....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
かなことといわなければならない!) これを思うとお八重の胸は、無念と口惜しさに
煮えるのであった。 (淀屋の独楽を奪い取れ! これがあの方のご命令だった。……淀....
「光は影を」より 著者:岸田国士
知つての通り……。だが、人の手前つてこともあるしな、ちつと、そばで見ていて、業の
煮えるところもないじやないよ」 「いゝじやないか、そんなこと……自分で気に入つて....
「雪女」より 著者:岡本綺堂
て、堀部君はいい家へ泊り合せたと思った。粥は高粱の中へ豚の肉を入れたもので、その
煮えるのを待ちかねて四、五椀すすり込むと、堀部君のひたいには汗がにじみ出して来た....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
まとい這いまつわる、附木の硫黄は、火の車で、鉄の鍋の中に、豆府と菎蒻がぐらぐらと
煮える……申しますまい。口で言うだけでも、お冬さんを、我が手で苛め虐げるに斉しい....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
) 舟向、正是故山飛雪時。 (船は太陽の真下に向かってゆくがごとく、安南の海上は
煮えるような暑さである。涼しさを求めて食後にアイスクリームを口にしたが、思うに故....
「猪の味」より 著者:北大路魯山人
野菜を煮て、別に肉を取って、かたければ薄く切り、これを徐々になべに追加しながら、
煮えるそばから食べるようにする。 猪の味で野菜を賞味すると言っても、肝心の猪の....