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煮え返る
「煮え返る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
煮え返るの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
の日も朝から葉子を訪れて来た。ことに青白く見える顔つきは、何かわくわくと胸の中に
煮え返る想《おも》いをまざまざと裏切って、見る人のあわれを誘うほどだった。背水の....
「或る女」より 著者:有島武郎
《ふたり》をかわいそうがってくださいましたけれども……」
葉子の思いは胸の中で
煮え返るようだった。
「もういい堪忍《かんにん》してくださいよ。ねえさんがやはり....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
ゅうの笑い草になる。自分ばかりではない、八橋の恥にもなる。それを思うと、彼は胸が
煮え返るように腹立たしかった。 「一年まえのおれだったら、治六の奴め、生かして置....
「山椒大夫」より 著者:森鴎外
正道はうっとりとなって、この詞に聞き惚《ほ》れた。そのうち臓腑《ぞうふ》が
煮え返るようになって、獣《けもの》めいた叫びが口から出ようとするのを、歯を食いし....
「行人」より 著者:夏目漱石
つ先にある厚く築き上げられた石垣に当って、みごとに粉微塵《こみじん》となった末、
煮え返るような色を起して空《くう》を吹くのが常であったが、たまには崩《くず》れた....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
に詮《せん》なく消ゆるあとより又沸ぎる火が立ち騰《のぼ》る。深き夜を焦せとばかり
煮え返る※《ほのお》の声は、地にわめく人の叫びを小癪《こしゃく》なりとて空一面に....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
為で、夫に今までも甚蔵等にユスられる境涯を脱し得ぬので有ろうか。
余は腹の中は
煮え返るほど様々に考えた末、森に向い「では是から何うなさるのです」と問うた。森「....
「地中魔」より 著者:海野十三
来た丁度その日に当っていた。警視庁では「岩帰る」という密告状が舞いこんで、俄かに
煮え返るような騒ぎになった。強盗紳士の手際に懲りているので、忽ち厳重な警戒の網が....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
きが参謀本部にも行くまい、安心したまえ」 あくまではずかしめられたる千々岩は、
煮え返る胸をさすりつ。気は武男に飛びもかからんとすれども、心はもはや陳弁の時機に....
「女の一生」より 著者:森本薫
握られたの初めてよ、とても変な気のするものね。身体中の血が、一ぺんにぶくぶくって
煮え返るんじゃないかと思うくらいよ。ふふふ。私、新ちゃんを突きとばしてうちへ逃げ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ぬ心中の苦痛はいかばかり……外目《よそめ》には強く打つと見せて、腹の中は血の涙で
煮え返る、その心の中は千万無量だ。それをこの弁慶は、ここにいる弁慶なるものは、た....
「慾」より 著者:豊島与志雄
いたか喜久本の前につっ立ってる自分を見出した。それに気がついて我に返った。そして
煮え返るような胸を抱いて、しっかり足をふみしめて、歩き去った。依田を殴り倒してる....
「日記」より 著者:宮本百合子
えも、或感じを生ぜさせる。而し、自分を偽っては居ないだろう。私のように、腹の底は
煮え返るような思いをし乍ら、こらえてやっとそれをし、従って、遣ってあげたことに対....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
け洒亜々々失礼じゃないか。) とむらむらとして、どうしたんですか、じりじり胸が
煮え返るようで極めつけますと、窃と跫音を忍んで、光やは、二階を下りましたっけ。 ....