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煮焚
「煮焚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
煮焚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「明日」より 著者:井上紅梅
と、一人が二百と十文大銭で棺桶を舁いで共同墓地へ行って地上に置いた。王九媽はまた
煮焚きの手伝いをした。おおよそ手を動かした者と口を動かした者には皆御飯を食べさせ....
「白光」より 著者:井上紅梅
この行先はひたすら広大にのみなりゆきて、彼の一切の路を堰き止めた。 よその家の
煮焚きの烟は、ずっと前に消え尽して、箸もお碗も洗ってしまったが、陳士成はまだ飯も....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
た。 「おまえはもう女房をもらって、家のなかに隠してあるではないか。自分の女房に
煮焚きをさせて置きながら、わたしにかれこれ言うことがあるものか」 彼は黙って考....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
。私は美味い食物によって彼らを釣ろうとしたのであった。彼らは半分人間ではあったが
煮焚きの術を知らなかった。それを私は利用したのである。 ある日私はいつものよう....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
にしたので、患者も少しは来ますし、往診もちょいちょいありました。近所の婆さんが、
煮焚の世話をしてくれていたそうです。 私どもが著いた明くる朝、お父様がお出かけ....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
のお蔭にて、或時は畑を耘い、庭や表のはき掃除などをし、女房おみねは萩原の宅へ参り
煮焚洒ぎ洗濯やお菜ごしらえお給仕などをしておりますゆえ、萩原も伴藏夫婦には孫店を....
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
かしい注文を受けた時は、皆な長二にさせます。長二は其の頃両親とも亡りましたので、
煮焚をさせる雇婆さんを置いて、独身で本所|〆切諛があっては美い事は出来ないから、....
「新生」より 著者:島崎藤村
今の離座敷にあるものをそっくり新規な家の方へ持って行くだけのことであった。丁度|
煮焚《にたき》の世話を頼むに好さそうな婆やも一人見つかったし。泉太をはじめ繁や君....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
っと昔からこの家の習慣で、女が見るものを見るころは家族のものからも離れ、ひとりで
煮焚きまでして、そこにこもり暮らすという。 「お民、来てごらん。」 と言いなが....
「イタリア人」より 著者:寺田寅彦
切り小切りをする。大根を歯で喰い欠いてみてこれはいけないと云って突返したりする。
煮焚きの事でも細君にはやらせないで独りで台所で何かガチャつかせながらやっていた。....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
なぞは誰も来て手伝うてくれる者もなかったそうだ。土間には大勢女の人達が立ち働いて
煮焚きをして居る。彼等夫妻は上って勘五郎さんに苦しい挨拶した。恵比須さまの様な顔....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
いから鹿肉にして、葱《ねぎ》一束位と共に寄宿舎へ持ちかえって、賄方の鍋釜を借りて
煮焚きをした、そんなことで詩会席にいるよりも食事の調理に奔走する者が多いから、先....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
たが、そこである日親父がばばあどのへ言うには、小吉もだんだん年をとる故、小身者は
煮焚《にた》きまで自分で出来ぬと身上をば持てぬものだから、以来は小吉が食物などは....
「清貧の書」より 著者:林芙美子
》で、見せて上げるから……」 そういって聞かせても、子供は、(炭や薪《まき》で
煮焚《にた》きしているのであろう、小里氏の屋根の煙を私は毎日見ている)不思議そう....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
したらば、ご出立の際、わたくしにいただかしてもらいたいこと。もし、この炉《ろ》で
煮焚きをなさるならば、火をお焚きになる前に、この火掻きで、煙突を二三度ひっぱたい....