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煮焚き
「煮焚き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
煮焚きの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「空を飛ぶパラソル」より 著者:夢野久作
誰もそんな事を尋ねて見るものは無い。何にしても当り前でない婆さんが、タッタ一人で
煮焚きをするので、まことに不要心だから、警察に届けようか、どうしようかと相談しい....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
っと昔からこの家の習慣で、女が見るものを見るころは家族のものからも離れ、ひとりで
煮焚きまでして、そこにこもり暮らすという。 「お民、来てごらん。」 と言いなが....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
なぞは誰も来て手伝うてくれる者もなかったそうだ。土間には大勢女の人達が立ち働いて
煮焚きをして居る。彼等夫妻は上って勘五郎さんに苦しい挨拶した。恵比須さまの様な顔....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
た。 「おまえはもう女房をもらって、家のなかに隠してあるではないか。自分の女房に
煮焚きをさせて置きながら、わたしにかれこれ言うことがあるものか」 彼は黙って考....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
が、パーキンスが述べたごとく、飼い主の糊口《ここう》のために舞い踊りその留守中に
煮焚きの世話をし、ウィルキンソンが言った通り人に事《つか》えて種々有用な役を勤む....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
にさっしゃるがよいと言ってくれる故、なおなおおれがことはかまわず、毎日毎日自身に
煮焚きをしたが、醤油には水を入れて置くやら、さまざまのことをするから、心もちが悪....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
いから鹿肉にして、葱《ねぎ》一束位と共に寄宿舎へ持ちかえって、賄方の鍋釜を借りて
煮焚きをした、そんなことで詩会席にいるよりも食事の調理に奔走する者が多いから、先....
「イタリア人」より 著者:寺田寅彦
切り小切りをする。大根を歯で喰い欠いてみてこれはいけないと云って突返したりする。
煮焚きの事でも細君にはやらせないで独りで台所で何かガチャつかせながらやっていた。....
「明日」より 著者:井上紅梅
と、一人が二百と十文大銭で棺桶を舁いで共同墓地へ行って地上に置いた。王九媽はまた
煮焚きの手伝いをした。おおよそ手を動かした者と口を動かした者には皆御飯を食べさせ....
「白光」より 著者:井上紅梅
この行先はひたすら広大にのみなりゆきて、彼の一切の路を堰き止めた。 よその家の
煮焚きの烟は、ずっと前に消え尽して、箸もお碗も洗ってしまったが、陳士成はまだ飯も....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
。私は美味い食物によって彼らを釣ろうとしたのであった。彼らは半分人間ではあったが
煮焚きの術を知らなかった。それを私は利用したのである。 ある日私はいつものよう....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
したらば、ご出立の際、わたくしにいただかしてもらいたいこと。もし、この炉《ろ》で
煮焚きをなさるならば、火をお焚きになる前に、この火掻きで、煙突を二三度ひっぱたい....
「母の手毬歌」より 著者:柳田国男
中国地方ではこれをオナリド、関東から東北一帯では昼間持ちといっている。オナリドは
煮焚き調理をする人ということであり、昼間はすなわちお昼の食べ物をそういうのだが、....