煽り[語句情報] »
煽り
「煽り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
煽りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ていた。風は柏の小枝を揺《ゆす》って、折々枝頭の若芽の※《におい》を日の光の中に
煽り立てた。が、彼にはその風が、彼の耳元を流れる度に、こう云う言葉を細々と囁《さ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
大恩人、且つ御主に当る。さればこそ、嬢|様と聞くと斉しく、朝から台所で冷酒のぐい
煽り、魚屋と茶碗を合わせた、その挙動魔のごときが、立処に影を潜めた。 まだそれ....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
の大なる期待ではあったが、軈て現われ来るべき大事件は若い好奇心と敵愾心とを極端に
煽り立てて、私は勇士を乘せて戦場に駆け出そうとする牡馬の様に、暗闇の中で眼を輝か....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
そこは他国の衆で分らねえ。稲妻を掴えそうな慌て方で、ざぶざぶ真中で追かける、人の
煽りで、水が動いて、手毬は一つくるりと廻った。岸の方へ寄るでねえかね。 (えら!....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
なさい。) (唯今。) と肩を軽く斜めに落すと、コオトが、すっと脱げたんです。
煽りもせぬのに気が立って、颯と火の上る松明より、紅に燃立つばかり、緋の紋縮緬の長....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
の旅籠屋で、かき玉の椀に、きざみ昆布のつくだ煮か、それはいい、あろう事か、朝酒を
煽りつけた勢で、通しの夜汽車で、疲れたのを顧みず――時も八月、極暑に、矢声を掛け....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
のうらかえす雪女郎は、東雲の頃の極寒に、その気色たちまち変って、拳を上げて、戸を
煽り、廂を鼓き、褄を飛ばして棟を蹴た。白面|皓身の夜叉となって、大空を駆けめぐり....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
り尻をついて膝を折りざまに、お米を内へ抱え込むと、ばったり諸共に畳の上。 この
煽りに、婆さんが座右の火鉢の火の、先刻からじょうに成果てたのが、真白にぱっと散っ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
残って、砂地に独り峡の婆、件の手を腰に極めて、傾がりながら、片手を前へ、斜めに一
煽り、ハタと煽ると、雨戸はおのずからキリキリと動いて閉った。 二人の婆に挟まれ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
行きます。その背後は一|帯の深い沼沢で、何所へも退路はありませぬ。もうほんの一と
煽りですべては身の終り……。そう思うと私はわれを忘れて、丘の上から駆け降りようと....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
りると、激流の巌から巌へ、中洲の大巌で一度中絶えがして、板ばかりの橋が飛々に、一
煽り飜って落つる白波のすぐ下流は、たちまち、白昼も暗闇を包んだ釜ヶ淵なのである。....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
」と云った。良平は直に飛び乗った。トロッコは三人が乗り移ると同時に、蜜柑畑の※を
煽りながら、ひた辷りに線路を走り出した。「押すよりも乗る方がずっと好い」――良平....
「寡婦」より 著者:秋田滋
と申したほうが好いのでしょう。私はその少年のあどけない愛情を弄んだのです。それを
煽り立てさえいたしました。一人前の男にたいするように、媚を見せたり、水を向けたり....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
人間の巌のごとく取巻いて、大髻の相撲連中九人ばかり、峰を聳て、谷を展いて、湯呑で
煽り、片口、丼、谷川の流れるように飲んでいる。……何しろ取込んで忙しそうだ、早い....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
い、香を嗅いだばかりで、ぐらぐらと眩暈がして、背後へ倒れそうなやつを、湯呑水呑で
煽りやがるんで、身体中の血が燃えてまさ。 ですから、おかみさん、ちょっとでもあ....