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熟し
「熟し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
熟しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
、今更のようにこの無様《ぶざま》な若者を眺めた。素戔嗚の名は彼女の耳にも、明かに
熟しているようであった。
「では今まではあの山の向うの、高天原《たかまがはら》の....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
とこの図が我々の前へ、蜃楼《しんろう》のように現れたのです。これこそ実際天縁が、
熟したと言う外《ほか》はありません。私は取る物も取りあえず、金※《きんしょう》に....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
ゃんは少しもか弱そうではない。小さい笑窪《えくぼ》のある両頬《りょうほお》なども
熟した杏《あんず》のようにまるまるしている。………
僕の父や母の愛を一番余計....
「或る女」より 著者:有島武郎
かった。いやしくも文学を解するものは木部を知らないものはなかった。人々は木部が成
熟した思想をひっさげて世の中に出て来る時の華々《はなばな》しさをうわさし合った。....
「二つの道」より 著者:有島武郎
見いだされずに残っているといわねばならぬ。
その思想と伎倆《ぎりょう》の最も円
熟した時、後代に捧ぐべき代表的傑作として、ハムレットを捕えたシェクスピアは、人の....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
つの頃《ころ》だったか覚えてはいませんが秋だったのでしょう。葡萄《ぶどう》の実が
熟していたのですから。天気は冬が来る前の秋によくあるように空の奥の奥まで見すかさ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
所まで送り出してから、私はひとりで手広いりんご畑の中を歩きまわった。りんごの枝は
熟した果実でたわわになっていた。ある木などは葉がすっかりに考えた。 とにかく君....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
この期間に多くの研究者、思索家の間には、この宇宙の謎に関する一つの考え方が次第に
熟しつつあったので、その考えは今日我々の時代から見ても実に驚嘆すべきものであった....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
んざ、水へ突込んでるように、畝ったこの筋までが蒼白く透通って、各自の顔は、皆その
熟した真桑瓜に目鼻がついたように黄色くなったのを、見合せて、呼吸を詰める、とふわ....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
人通りがあって、もうちと行くと、またひっそりして、やがて大きな桑畠へ入って、あの
熟した桑の実を取って食べながら通ると、ニ三人葉を摘んでいた、田舎の婦人があって、....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
く、地上に現れたる魂なのである。かるが故に、現世に於て蒔かれたる種子は、やがて成
熟して、次の世界の収穫となる。単調無味な、夢のような天国が、前途に諸子を待ってい....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
りとに何にか関係があるという予想は、ファラデーが五年間休養している間に、段々と円
熟して来た。 ファラデーは健康が回復すると、一八四五年から電磁気と光との関係に....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
一人娘がいた。彼女は花はずかしい十八歳の乙女だった。しゃこのように丸々と肥って、
熟して柔らかで赤い頬は、まるで彼女の父のつくった桃にも似ていた。そして、彼女の評....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
、甜瓜は――「瓜を食って活きている。」――渠の言とともに、唐草の炬燵の上に、黄に
熟したると、半ば青きと、葉とともに転がった。 小山夏吉は更めて言を継いだ。――....
「まあまあ居士の弁」より 著者:浅沼稲次郎
五名の代議員を認めて再建方式を定めて社会党再建闘争に乗り出したのであるが、その成
熟しない中に本年一月の大会で分裂の非運に遭遇したのであるが、日本勤労階級の社会党....