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「熟す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

熟すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
ばはやり勝ちな、一党の客気《かっき》を控制《こうせい》して、徐《おもむろ》に機の熟するのを待っただけでも、並大抵《なみたいてい》な骨折りではない。しかも讐家《し....
仙人」より 著者:芥川竜之介
決して容易なものではない。第一、十日と天気が悪いと口が干上ってしまう。夏は、麦が熟す時分から、例の雨期へはいるので、小さな衣裳や仮面《めん》にも、知らないうちに....
一つの世界」より 著者:伊丹万作
対抗するだけの力を持った思想は生れていないし、これから生れるとしてもそれが成長し熟するまでにはすくなくとも百年くらいかかるだろうから、一度統一された世界ではそう....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
ろい自白をしている。「若いころには、おのが好む絵を描く名人を称揚したが、鑑識力の熟するに従って、おのが好みに適するように、名人たちが選んだ絵を好むおのれを称した....
碧蹄館の戦」より 著者:菊池寛
時に十時頃である。隆景本陣を望客※の上に置き馬上戦陣の展開を眺めて居たが、機正に熟すとして、全軍に進撃の命令を下した。小早川秀包、毛利元康、筑紫広門等五千の軍を....
山崎合戦」より 著者:菊池寛
いる。 戦争開始前、高山右近の家来の甘利八郎太夫と云う男が、牀几に依って戦機の熟するのを待っている右近の前に出て、 「私は、只今どちらにしていいか分らない事が....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
異で幕が上るのだが、それ以前に、胎龍の語る夢を精神分析的に解釈して、最初の機会が熟するのを待っていた。そして案の状、投げた骰子に目が出たので、次第に、胎龍は、一....
妖怪学」より 著者:井上円了
、 四月三日、五月五日の天気よしあしをもって年の豊凶を知れ 柳の栄ゆる年は米よく熟す また、一首の歌に、 蛍火の少なき年は秋の田の刈穂も実のりよしと知るへし ....
妖怪玄談」より 著者:井上円了
足二本とその歌の調子に合わせ、こもごもその足を上下す。歌人の音声清らかにして調子熟すれば、その足の上下一層迅速にして、座中を縦横におどりあがる。すでにこのときに....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
尋常一様でなかった。 が、余り原文に忠実であり過ぎたため、外国文章の句法辞法に熟する人でなくてはとても理解されない難かしいものとなった。尤も当時のタワイない低....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
それがなんであろうと、疑問の余地はないのだった。 しかし、一方で対英戦争の機が熟するに従って、フィリップ王はいよいよフランスとの和平を熱望するようになった。フ....
扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
何かと相談相手にして、いわば私との恋仲も黙許よりも、寧ろ奨励する形で、結婚にまで熟するのは容易な道行でありました。それが妨げられたのはたった一つの事件のためであ....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
、そのような文化的感応と欲求とが自ずと内から生れてくるくらいに、生活そのものが成熟する時を待たねばならなかった。そして、そのような文化上の開花期が日本列島の上に....
料理の秘訣」より 著者:北大路魯山人
はないが、一尾まるごと買い当てるとなると、以上のような鑑定力を要する。 卵が成熟する半月前が美味い。成熟してぼつぼつ卵を海草に生みつけかけたのは、卵袋中で卵と....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
てきた。ナポレオンは一部をもって前線を救援せしめたがなお主力は参加せしめず戦機の熟するを待った。午後七時過ぎ普軍は全くその予備隊を消耗するに至った。あたかもよし....