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熱っぽい
「熱っぽい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
熱っぽいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
きくと、 「好きやもん。あたい、兄ちゃん好きえ」 靴磨きの少女は、磨きもせず、
熱っぽい眼でじっと京吉の顔を見つめながら、甘えるように言った。 京吉はキョトン....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
る短い着物をお君は着て、だから軽部は思わず眼をそらした。 「女は出世のさまたげ」
熱っぽいお君の臭いにむせながら、日頃の持論にしがみついた。しかし、三度目にお君が....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
人とクリヴォフ夫人との間に現われたのだがね」と法水が、未だに夢想の去りきらない、
熱っぽい瞳を向けたとき、扉が静かに開かれた。そして、突然何の予告もなしに、久我鎮....
「わが町」より 著者:織田作之助
ん」 「ほんなら好きや」 「そか、好きか」 可愛さに気の遠くなる想いで、頭髪の
熱っぽい匂いをかぎながらじっと君枝を抱いていると、〆団治が、 「他あやん、えらい....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
たときの狼狽だの、ある日ふらりと彼女の部屋を訪ねると、真中に延びた寝床のなかに、
熱っぽい顔をした彼女がいて、少し離れて坐った庸三が、今にも起き出すかと待っている....
「地球要塞」より 著者:海野十三
《がけ》のうえにうつした。 海原《うなばら》を越えてくる涼風《りょうふう》は、
熱っぽい膚《はだ》のうえを吹いて、寒いほどであった。仰《あお》げば、夜空は気持よ....
「悪夢」より 著者:豊島与志雄
り込んでいった。出口のない息苦しい生活にいじめつけられた私のうちにも、なお強烈な
熱っぽい力が残っていた。私は見当り次第のとある家へ、こちらからはいるともなく誘い....
「雨」より 著者:織田作之助
ている短い着物をお君は着て、だから軽部は思わず眼をそらした。女は出世のさまたげ。
熱っぽいお君の臭いにむせながら、日ごろの持論にしがみついた。しかし、三度目にお君....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
ランドを視野から閉ざす暗やみを喜んだ。まもなくジュネーヴが見れるのだと考えると、
熱っぽい喜びで脈搏が鼓動した。過去は、怖ろしい夢のなかのように見えた。けれども、....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
終えると、法水は衣袋から、一葉の紙片を取り出した。その刹那、彼の眼には、何かしら
熱っぽい輝きが加わって、その紙片ごと、指先がわなわなと顫えた。 然し、その一片....
「回想録」より 著者:高村光太郎
り、フューザン会の彫刻の方を私に入ってくれという話で勧められて加わった。あんなに
熱っぽい運動というものは少い。然し中に二色あるのが矢張別れるもとで、斎藤さんなど....
「秋深き」より 著者:織田作之助
た。 振り向くと隣室の女がひとりで大股にやって来るのだった。近づいた途端、妙に
熱っぽい体臭がぷんと匂った。 「お散歩ですの?」 女はひそめた声で訊いた。そし....
「チェーホフ試論」より 著者:神西清
るものは、二千通をこす尨大な手紙である。ドストエーフスキイも手紙の大家であった。
熱っぽい緊張と狂おしい感動とにつらぬかれたこの巨匠の手紙は、よしんば彼が事実を曲....
「深夜の客」より 著者:大倉燁子
ら三味線を出して調子を合せ、今日は何をやりましょう。と云う。思いなしか仙ちゃんは
熱っぽい声で袈裟御前が首を落されるあれ、何とか云ったなと云うと、鳥羽の恋塚よ、と....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
目はパリの劇場である。息苦しい、光線の通りの悪い、たいそう上の方の座席で、幽暗な
熱っぽい情熱の渦の流れている込み合った群衆の中でのことである。演奏されたのは S....