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熱情
「熱情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
熱情の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
らしく思うのだ。あるいは己の愛している女に、それほどまでに媚びようとするあの男の
熱情が、愛人たる己にある種の満足を与えてくれるからかも知れない。
しかしそう云....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
中を橋から橋へ、夢のように漕《こ》いでゆく、ヴェネチアの風物に、あふるるばかりの
熱情を注いだダンヌンチョの心もちを、いまさらのように慕わしく、思い出さずにはいら....
「路上」より 著者:芥川竜之介
げたいと思っていると云う事――すべてが哲学者と云うよりは、むしろ詩人にふさわしい
熱情の表現とも云わるべき性質のものだった。
俊助にはこの絢爛《けんらん》たる文....
「早春」より 著者:芥川竜之介
実だった。が、三重子は半年《はんとし》の間に少しも見知らぬ不良少女になった。彼の
熱情を失ったのは全然三重子の責任である。少くとも幻滅《げんめつ》の結果である。決....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
。同時に又百般の人事を統《す》べる「偶然」の存在も認めるものである。が、あらゆる
熱情は理性の存在を忘れ易い。「偶然」は云わば神意である。すると我我の自己欺瞞は世....
「或る女」より 著者:有島武郎
でも自分を女とあなどっている。ちっぽけな才力を今でも頼んでいる。女よりも浅ましい
熱情を鼻にかけて、今でも自分の運命に差し出がましく立ち入ろうとしている。あの自信....
「或る女」より 著者:有島武郎
何をごまかすかい」
「そんな言葉がわたしはきらいです」
「葉子!」
倉地はもう
熱情に燃えていた。しかしそれはいつでも葉子を抱いた時に倉地に起こる野獣のような熱....
「星座」より 著者:有島武郎
書きぬきを対照しながら、清逸はほとんど寒さも忘れはてて筆を走らせた。彼はあらゆる
熱情を胸の奥深く葬ってしまって、氷のように冷かな正確な論理によって、自分の主張を....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
て、それが始めのうちは周囲の騒音の中に消されているけれども、だんだんとその運動は
熱情的となり力づいて行って、霊を得たように、漁夫の乗り込んだ舟が波を切り波を切り....
「『聖書』の権威」より 著者:有島武郎
闘をしました。芸術的の衝動は性欲に加担し、道義的の衝動は聖書に加担しました。私の
熱情はその間を如何う調和すべきかを知りませんでした。而して悩みました。その頃の聖....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
ったであろう。 われ等が求むる所は、右にのぶるが如き人物である。慈悲心にとみ、
熱情にとみ、自己を忘れて真理を求め、神業一つを睨みつめて、現世的欲求を棄てて顧み....
「寡婦」より 著者:秋田滋
晩のことでした、少年は庭で出し抜けに私の膝のうえに倒れかかって来て、狂気のような
熱情をこめて、私の着物のすそ接吻をしながら、こう云うのです。 「僕はあなたを愛し....
「北海道に就いての印象」より 著者:有島武郎
分自身の色彩を以てその枝を装う小春。それは山といわず野といわず北国の天地を悲壮な
熱情の舞台にする。 或る冴えた晩秋の朝であった。霜の上には薄い牛乳のような色の....
「浅沼稲次郎の三つの代表的演説」より 著者:浅沼稲次郎
再建に努力せんとの熱意に燃えておるのであります。しかるに、吉田内閣は、この国民の
熱情に何らこたえるところなく、いたずらに、外交はアメリカ追随、内政は反動と逆コー....
「まあまあ居士の弁」より 著者:浅沼稲次郎
に忘れることのできない思い出の一つである。 とにかく鉱山労働者の、同志に対する
熱情は非常に強い。そのために到頭、足尾事件で五箇月監獄にぶち込まれることになった....