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熱愛
「熱愛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
熱愛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
書きました。そういう時が来るようにしてほしいのです。
木村君の事を――あなたを
熱愛してあなたのみに希望をかけている木村君の事を考えると僕はこれだけの事を書かず....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
面は、そのまますべての表情だった。日光と雲との明暗にいろどられた雪の重なりには、
熱愛をもって見きわめようと努める人々にのみ説き明かされる貴いなぞが潜めてあった。....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
運命に似合わしく、若くしてこの世を去った。文献によればビヤトリスは切なるダンテの
熱愛に触れることなくして世を終ったらしい。ダンテの愛はビヤトリスと相互的に通い合....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
に対しては我れながら怪しまれるほどに濃厚の愛情をささげて仕えた。蛇吉も勿論かれを
熱愛した。こうして三年あまりも同棲しているあいだに、蛇吉は自分の仕事の上の秘密を....
「大脳手術」より 著者:海野十三
だ」 「……」 これは痛い言葉だった。私は終日不愉快であった。鳴海の奴は、私の
熱愛していた偶像を滅茶滅茶に壊してしまったのだ。私はそれ以来一層不機嫌に駆りたて....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
九度七。湿度八五。 遂に妾は、決意のほどを実行にうつした。 この世に只ひとり
熱愛する夫を、特別研究室に連れこんで電気メスでもって、すっかり解体してしまった。....
「墓」より 著者:秋田滋
ない、溢れるばかりの情熱をもって彼女を愛していたのであります。もの狂おしいまでに
熱愛していたのであります。 わたくしがこれから申し述べますことを、しばらくお聴....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
それとも私が人間でなくなるのか?……どっちだかそれは解らんが、とにかく相互の熱情
熱愛に人畜の差別を撥無して、渾然として一如となる、」とあるはこの瞬間の心持をいっ....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
では、都の文化に対する渇望が一層つよくならぬとはいえないであろう。その心が和歌を
熱愛させる。和歌はすでに四百年の伝統を荷担った貴紳文芸である。この文芸に打ちこん....
「囚われたる現文壇」より 著者:小川未明
現実は説明の出来ない力であるが、若し芸術家が真に此の現実の前に謙遜であり、それを
熱愛し、それを痛感しているならば、其の人の芸術は必ず民衆の胸を衝き、誰れにでも強....
「読んできかせる場合」より 著者:小川未明
に喜び、考えるものです。このことは、即ち、親達が、そして教える人達が、先ず真理の
熱愛者でなければならぬことを語るに他ならないと思うのであります。....
「『小さな草と太陽』序」より 著者:小川未明
救うものは、逃避でもなく、妥協でもなく、また終わりなき戦いでもなく、全く、創造の
熱愛があるからです。私は、創造のために、いかなる戦いも辞せない。 私達が、この....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
シュアレス』といったのはモーリス・マーテルリンクであるが)は、彼がドビュッシーの
熱愛者であるにもかかわらず近頃こう書いた――「福音書を書くような態度でベートーヴ....
「蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
した。 それによると夫人は娘盛りの時、同時に文夫さんの父君とその実弟と、二人の
熱愛の的であったということでございます。彼女は兄の愛には喜んで報いましたが、弟は....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
ました。何か二人の間に云えない秘密があったのではないかと疑いました。私がこんなに
熱愛していたのに、こうして鍵のある抽出しに秘しておく、女の周到な用意を憎みました....