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燧
「燧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
燧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
うな葉子の目の前で閉じたり開いたりした。赤とんぼも飛びかわす時節で、その群れが、
燧石《ひうちいし》から打ち出される火花のように、赤い印象を目の底に残して乱れあっ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
細かまわず又呶鳴った。 「ええ、構うものか、こんな稲荷……。さあ、焼くぞ、こんな
燧石箱《ひうちばこ》のような小っぽけな祠《ほこら》は、またたく間に灰にしてしまう....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
別坑は、一つもなかったのですが」 「おや、地盤が、急に変ったじゃないか。これは、
燧石みたいに硬い岩だ」 草津大尉の声のする方に、道後少尉が、懐中電灯を照しつけ....
「未来の地下戦車長」より 著者:海野十三
十尺もあって、それを掘ると、下から、青くて固い地盤《じばん》が出て来るよ。まるで
燧石《ひうちいし》のやわらかいやつみたいだ。こいつは掘るのに、なかなか手間がかか....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
り、頬のやや円いのが、萎々とした禰宜いでたちで、蚊脛を絞り、鹿革の古ぼけた大きな
燧打袋を腰に提げ、燈心を一束、片手に油差を持添え、揉烏帽子を頂いた、耳、ぼんの窪....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
わるる。 「ええ、」 と黒門の年若な逗留客は、火のない煙草盆の、遥に上の方で、
燧灯を摺って、静に吸いつけた煙草の火が、その色の白い頬に映って、長い眉を黒く見せ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
に掴まって、坊主を揉んでるのが華奢らしい島田|髷で、この影は、濃く映った。 火
燧々々、と女どもが云う内に、 (えへん)と咳を太くして、大な手で、灰吹を持上げた....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
カーネーション、フリージヤの陰へ、ひしゃげた煙管を出して点けようとしていたが、火
燧をパッとさし寄せられると、かかる騎士に対して、脂下る次第には行かない。雁首を俯....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
なに寝台の上へひょいと突立って、捻って、ふっと消した。 「何、この方が勝手です、
燧火を一つ置いといて頂けば沢山で。」 この家の細君は、まだその時、宵に使った行....
「鼠」より 著者:岡本綺堂
聞いたのである。もう打捨てては置かれないので、七兵衛は床の上に起き直って枕もとの
燧石を擦った。有明行燈の火に照らされた蚊帳の中には、鼠らしい物の姿も見いだされな....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
もとの洞穴へもぐり込んだかと思うと、更にそこらから枯枝を拾いあつめて来て、それに
燧の火をすり付けて、粟の粥を炊きはじめた。小坂部と采女とはまだ川のほとりを立ち去....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
がねえたって茶話にゃなりまさ。 黙っていました。 その晩、また昨夜のように、
燧火だけは枕頭へ置いて火の用心に灯は消して寝たんですが。 同一刻になりますと、....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
れば、「盆の裏へ狐狗狸の三字を指頭にて書き、それに風呂敷ようのものを掛け、これに
燧火をいたす、云云」とあり。信州高井郡、湯本氏の報知によれば、「竹の長さ各一尺五....
「画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
彼の恐しい婦人の姿も共に消えて了った、私は転げるように寝台から飛降りて、盲探りに
燧木を探り把って、慌てて座敷の瓦斯に火を点し、室内昼の如くに照させて四辺隈なく穿....
「古事記」より 著者:太安万侶
を咋《く》わえ出て澤山の神聖なお皿を作つて、また海草の幹《みき》を刈り取つて來て
燧臼《ひうちうす》と
燧杵《ひうちきね》を作つて、これを擦《す》つて火をつくり出し....