» 爪

「爪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

爪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
皺《しわ》だらけな体を浸した。 湯加減は少し熱いくらいである。彼はその熱い湯が爪の先にしみこむのを感じながら、長い呼吸《いき》をして、おもむろに風呂の中を見廻....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
変えて、必死に梁を擡《もた》げようと致して居りましたから、私はその時妻の両手が、爪も見えないほど血にまみれて、震えながら梁をさぐって居ったのが、今でもまざまざと....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
に化けた天狗が、この屋形の姫君に心を懸けて、ある夜ひそかに破風《はふ》の空から、爪だらけの手をさしのべようも、全くない事じゃとは誰も云えぬ。が、――」と仰有《お....
「影」より 著者:芥川竜之介
にいる陳彩と、寸分も変らない陳彩であった。これは房子だった「物」に重なりながら、爪も見えないほど相手の喉《のど》に、両手の指を埋《うず》めていた。そうしてその露....
「河童」より 著者:芥川竜之介
神々に恵まれたもの、――阿呆か、悪人か、英雄かである。（クラバックはこの章の上へ爪《つめ》の痕《あと》をつけていました。） × 我々の生活に必....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
度も悲しそうな声を立てた。のみならずしまいにはその襖《ふすま》へ、がりがり前足の爪をかけた。牧野は深夜のランプの光に、妙な苦笑《くしょう》を浮べながら、とうとう....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
、細さは漸《ようや》く三寸あまりしかない。しなやかにまがった指の先には、うす白い爪が柔らかく肉の色を隔てている。小二《しょうじ》の心にはその足を見た時の記憶が夢....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
一本つけ、前よりも気楽に歩いて行った。 石炭殻《せきたんがら》などを敷いた路は爪先上《つまさきあが》りに踏切りへ出る、――そこへ何気《なにげ》なしに来た時だっ....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
た。 「さあ、それでよろしい。」 二十前後の支那人は満足の微笑を浮かべながら、爪の長い両手をすり合せている。半三郎はぼんやり彼の脚を眺めた。するといつか白ズボ....
「運」より 著者:芥川竜之介
爺さんの話を聞きたがっているじゃないか。」 二人は、暫くの間、黙った。青侍は、爪で頤《あご》のひげを抜きながら、ぼんやり往来を眺めている。貝殻のように白く光る....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
ステルを口にした日本を、――貴族の夫人たちが、珊瑚《さんご》の念珠《ねんじゅ》を爪繰《つまぐ》って、毘留善麻利耶《びるぜんまりあ》の前に跪《ひざまず》いた日本を....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
笏を忘れていた。 その内に僕も作句をはじめた。すると或時歳時記の中に「死病得て爪美しき火桶かな」と云う蛇笏の句を発見した。この句は蛇笏に対する評価を一変する力....
「寡婦」より 著者:秋田滋
私がおどおどしていると、少年はやがて起ち上って、私よりも背丈が低かったので、爪さきで背伸びをするようにして、私の耳もとに口を寄せると、私の名、それも呼名を、....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
れた。それから、すばらしい雄鶏さえも、仰向けになって、添え料理の皿に横たわり、蹴爪を高く上げて、あたかも生きているあいだは武侠の精神のおかげで敢えて請おうとしな....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
た。が、そのまま死なせては血が見られないことになる。 そこで、私は、鋏、小さな爪切鋏を手にとり、おもむろにのどを三ヶ所切った。小鳥は口を開いて、逃げようともが....