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「爪痕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

爪痕の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あらくれ」より 著者:徳田秋声
に声かけた。暴出《あれだ》すお島を押えたために、可也興奮させられて来た鶴さんは、爪痕《つめあと》のばら桜になっている腕をさすりながら、莨《たばこ》を喫《ふか》し....
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
が》たれていた。それは、ほんの小さい洞窟ではあったが、市九郎の強い意志は、最初の爪痕《そうこん》を明らかに止めていた。 が、近郷の人々はまた市九郎を嗤った。 ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
とだ。しかし、オットカールさんの咽喉に印されていたという父の指痕は――あの恐竜の爪痕は、いったい貴方の分身なのですか」 「恐竜※」と法水は、噛むように言葉を刻ん....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
わいなく倒れている。床几代りにまた腰をかけて、少し休む。河原の砂に、点々として、爪痕のあるのは、水を飲みに下りた、鹿の足痕であると、猟師はいう。同行の高頭君は、....
十二支考」より 著者:南方熊楠
しばり、向歯《むこうば》二枚欠け落ち、鼈《すっぽん》に殺されたのは、脇腹章門辺に爪痕入れりと見え、『さへづり草』には、水辺一種の奇蛇あり、長七、八寸より二尺余に....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ばらくの間――軽蔑《けいべつ》しようとしたが、甲斐《かい》がなかった。彼は恋愛の爪痕《つめあと》を受けていた。心の中に一つの空虚があって、それを満たさなければな....
兎と猫」より 著者:井上紅梅
入ってみると、壁の隅に別の一つの穴を発見した。それからまた元の穴へ行ってみると、爪痕が薄《うっす》らと幾つも見えている。この爪痕は大兎のものとしては余りに大きい....
魔都」より 著者:久生十蘭
を掴み損ねて下まで叩き落ちたということがはっきりとわかる。この堅い壁にこれほどの爪痕を附けるとすれば、さぞ爪先が傷んだことであろう。現に爪痕の最後のところには、....
怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
「さァ苦しゅうない、寝間衣の上からでは思うように通るまい、肌|襦袢の薄い上から、爪痕立て、たとえ肌を傷けようと好い程に」 高田殿は狂気の如く身を悶悩させるので....
上海」より 著者:横光利一
来た。オルガは昨夜、急に癲癇の発作を起して彼の手首に爪を立てたのだ。山口は手首の爪痕をカフスの中から出したり、引っ込めたりしてみているうちに、腹部を出して悶転し....
私本太平記」より 著者:吉川英治
母子とは、おなじ母子でも在り方がちがっていた。それと藤夜叉には道誉という魔の男の爪痕が深いいたでになっている。わが子にさえ、彼女の心の裏がわでは、たえずそんな体....