父性[語句情報] »
父性
「父性〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
父性の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「放浪」より 著者:織田作之助
ん、あんたどない色つけてくれる気や。そんな不貞くされに負ける自分ではなかったが、
父性愛というんやろか、それとも今更惚れ直したんやろか、気が折れて、仕込んで来た売....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
も過ぎた。はっきり勘当だと分ってから、柳吉のしょげ方はすこぶる哀れなものだった。
父性愛ということもあった。蝶子に言われても、子供を無理に引き取る気の出なかったの....
「全体主義への吟味」より 著者:宮本百合子
された能動精神、行動主義の今日の姿として、実力養成を名とする現実への妥協、一般的
父性の歓喜というようなものが主流としてあらわれて来ているのである。 青野季吉氏....
「文学と生活」より 著者:宮本百合子
らいた美しい人間の精神とその性を殲滅する戦争こそ拒絶しずにはいられない。性は母性
父性にまでひろがって、人間の性の正当なあつかいかたを求めて叫んでいると思う。精神....
「母性偏重を排す」より 著者:与謝野晶子
の本である。ましてそれらが親となることは一層の不幸が予知せられる。その場合男には
父性の生活を、女には母性の生活を経験せしめない方がかえってよい人たちである。また....
「「女らしさ」とは何か」より 著者:与謝野晶子
、父と母との両者の愛、両者の聡明、両者の労力を合せることが必要です。従来は余りに
父性が等閑にされていましたから、母性に不当の重荷を課して、生殖生活は女子のみの任....
「連環記」より 著者:幸田露伴
られもするが、又吾が手を離れた女の其子を強いても引取ろうとするのはよくよく正しい
父性愛の強さからだとも解せられるのである。であるから男女の情理から判断すれば、兼....
「源氏物語」より 著者:紫式部
く》していった。 帝は新皇子を非常に御覧になりたがっておいでになった。人知れぬ
父性愛の火に心を燃やしながら源氏は伺候者の少ない隙《すき》をうかがって行った。 ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
受けになっただけで、何ともお返辞はあそばさなかった。初恋人への怨恨《えんこん》、
父性愛、別離の悲しみが一つになって泣く源氏の姿はあくまでも優雅であった。 「これ....
「不肖の兄」より 著者:豊島与志雄
くなって、幾年かたったならば、僕はもう生みの父母のことは忘れてしまって、別な広い
父性や母性をばかり、自分の魂の父や母をばかり、想像したり思慕したりすることだろう....
「ゲテ魚好き」より 著者:火野葦平
。 しかし、ドンコ釣りを躊躇させる一時期がある。ドンコほど夫婦愛が深く、また、
父性愛の強いものはない。産卵期になるといつもアベックだが、卵を産んでしまうと、雌....
「夢幻泡影」より 著者:外村繁
なっていた。父あっての母であり、母あっての父であってみれば、妻ない今日、私の中の
父性まで消えて行くのも、あるいは当然のことかも知れない。 子供達の生命は、それ....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
情により、われ知らず表面へ覗き出て来ます。 ほろ苦き中に味あり蕗の薹 この句は
父性愛の譬えとして好適の句だと思います。 兄弟というものは、本当に妙なものです....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
もしない戯れの結果にせよ、産みの腹がたれにせよ、彼のうちにも、いやおうのない若い
父性が必然にわいていた。それは途方に暮れるほどな負担と重たい感慨だったが、しかし....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
が子の母であったことにはちっとも触れていないことだ。その点、父の義仲も、みじんの
父性もない人間に書かれてきた。夫婦共に、鎌倉へ人質として取られている一子の志水冠....