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「父方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

父方の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
魔の、どこにか潜《ひそ》んでいるような気持は免かれぬものを、無二の友達とは云え、父方の縁続きとは云え、迂濶《うかつ》には天機を洩《も》らしがたい。宗近の言《こと....
私の母」より 著者:堺利彦
って、自分の祖父にそんな面白い人があったという誇りを感ずる点があったように思う。父方の祖父については、私は何の知るところもない。思うにそれは、祖父が早く死んだの....
自叙伝」より 著者:大杉栄
中将で予備になって、今は和歌山に隠居している。 名古屋と大阪とでは、名古屋では父方の親戚を、大阪では母方の親戚を歩き廻った。 が、そのどちらでも、商家や農家....
」より 著者:島崎藤村
りは一歩先に出た。 親戚は実の留守宅へ集って来た。森彦、正太夫婦を始め、お俊が父方の遠い親戚とか、母方の縁者とか、そういう人達まで弔みを言い入れに来た。混雑し....
狂乱」より 著者:近松秋江
、自分は伊賀の上野在の農家に養子に行って、なお存命である。ほかに兄弟とてなかった父方の親類といえば言われるのはそこきりで、血こそ繋がっていないが今でも親類づき合....
縮図」より 著者:徳田秋声
下されそうな形勢にあるということも、銀子は倉持から聞いていた。渡弁護士は倉持には父方の叔父であり、後見人でもあった。倉持は幼い時に父に訣れ、倉持家にふさわしい出....
足迹」より 著者:徳田秋声
た。中野の方の電信隊へ勤める将校連も、時々来ては騒いだ。 四ツ谷に縁づいている父方の従姉の家へ出入りしている男が、その家をよく知っていたところから、大蔵省へ出....
」より 著者:徳田秋声
の長い痩せぽッちなその骨格と、狭い額際との父親そっくりであるほか、この子が母親の父方の顔容を受け継いでいることは、笹村にとってかえって一種の安易であった。 縁....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
の機屋に年季奉公に入れた。 二人の兄の唖の巳代吉は最早若者の数に入った。彼は其父方の血を示して、口こそ利けね怜悧な器用な華美な職人風のイナセな若者であった。彼....
御萩と七種粥」より 著者:河上肇
私の父方の祖父才一郎が嘉永五年七月一日、僅か六畳一間の栗林家の門部屋で病死した時――....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
、むしろその厚意に負《そむ》くからである。この丸亀は折から妻の妹の夫、また私にも父方の従弟に当る菱田中行が基督教の宣伝のため来ていたので、そこへ止宿した。なお長....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
る人々は皆、実際彼は純粋なドイツ人ではないということをもち出さずにはいなかった。父方の家は――人の記憶するとおり――フランドルの出であった。それからというものは....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
槍騎兵《そうきへい》のことを前にちょっと述べておいた。 それはジルノルマン氏の父方《ちちかた》の系統で、甥《おい》の子に当たり、一族の外にあって、いずれの家庭....
二重人格者」より 著者:小酒井不木
。父が大酒家であるという外、父系にも母系にもこれという精神異常者はなかった。ただ父方の曾祖父が、お月様を猫に噛ませようと長い間努力して成功せず、疲労の結果、人面....
血友病」より 著者:小酒井不木
後に、同じ病で死にました。祖父の代から、私の家には男ばかりが生れまして、私には、父方の叔母もなければ、又、姉も妹もありませんでした。二人の兄が死んで、(もうその....