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「爽涼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

爽涼の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
坑夫」より 著者:夏目漱石
明かな夢と見たのである。この世でなければ見る事の出来ない明瞭な程度と、これに伴う爽涼《はっきり》した快感をもって、他界の幻影《まぼろし》に接したと同様の心持にな....
満願」より 著者:太宰治
のであるが、それでもお医者の善玉悪玉の説を聞くと、うっとうしい胸のうちが、一味|爽涼を覚えるのだ。たとえば、宵の私の訪問をもてなすのに、ただちに奥さんにビールを....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
へ向いてしまっているのは、何か道標があって、そぞろ心に誘われたのか、実際この夜が爽涼なる秋の良夜であって、「秋風や」というのを「名月や」とでも置き換えたらば、そ....
香魚と水質」より 著者:佐藤垢石
事実だが食品を耽味するという道楽は、人間ばかりが持っている奢りらしい。 新秋の爽涼、肌を慰むるこの頃、俄に耽味の奢りが、舌端によみがえりきたるを覚える。けだし....
木の葉山女魚」より 著者:佐藤垢石
奥山へは、秋の訪れが早い。 都会では、セルの単衣の肌ざわりに、爽涼を楽しむというのに、山の村では、稗を刈り粟の庭仕事も次第に忙しくなってくる。....
すっぽん」より 著者:佐藤垢石
一体私は、年中釣りに親しんでいるので、いつも魚の鮮味に不自由したことがない。殊に爽涼が訪れてきてからは、東京湾口を中心とした釣り場であげた鯛、黒鯛、やがら、中|....
棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
く。 清々しいものが体の中を吹き渡る……つかれはすぐに霧散する。 「どれ、この爽涼の気持ちで線を引こう」 私は筆へ丹念に墨をふくます。線に血が通うのはそうい....
雷嫌いの話」より 著者:橘外男
もんだ! としみじみ感じたのであるが、こいつもやはり、雷様のお通りになった後は、爽涼感と蘇生と二重の喜びを、感じるらしい。恐怖の去った後でハシャギたくなるのは、....
私本太平記」より 著者:吉川英治
篝が、 いざ、来い。 と、挑むばかりな意気を夜どおし焦がしていた。 五月の爽涼だ、夜明けも早い。 東国勢には、伝統的に馬自慢の武士が多いのである。暁の下....
黒田如水」より 著者:吉川英治
では、燭の光をあらためて、さあこれからと、杯を分け持つ夜半だった。 湯あがりの爽涼な肌に、衣服も更えて、客の官兵衛は甦ったように、遠慮なく日ごろよりよく飲み、....