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片す
「片す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
片すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仙人」より 著者:芥川竜之介
商売がすたり易い。そう云う時には、ほかに仕方もないから、うす暗い客舎《はたご》の
片すみで、鼠を相手に退屈をまぎらせながら、いつもなら慌しい日の暮を、待ちかねるよ....
「或る女」より 著者:有島武郎
縞《しま》の派手《はで》なのは片端からほどいて丸めて、次の妹の愛子にやるようにと
片すみに重ねたが、その中には十三になる末の妹の貞世《さだよ》に着せても似合わしそ....
「或る女」より 著者:有島武郎
ハーキュリーズが針仕事でもするようなぶきっちょうな様子で、狭い庭を歩き回りながら
片すみから片づけ出した。まだびしゃびしゃするような土の上に大きな足跡が縦横にしる....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
厘もあり。ここの一銭、かしこの二銭、積もりて十六銭五厘とぞなりにける。 美人は
片すみにありて、応募の最終なりき。隗の帽子は巡回して渠の前に着せるとき、世話人は....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
我慢してくれと心の中にわびるように言いながら、君は若い漁夫を卒倒したまま胴の間の
片すみに抱きよせて、すぐ自分の仕事にかかった。 やがて行く手の波の上にぼんやり....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
である。また太陽から分離するときに最大な赤道速度を得たような破片は、また最も小破
片すなわち、衛星を投げ出しやすいはずである。これはその当時の経験とは一致するが、....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
のある大きな箱だ。中は真暗だ。僕は両手をゆわえられ、両腕や肩を握られながら、その
片すみにあぐらをかいていた。 折々奴等の吸う煙草のあかりで、奴等の顔が見える。....
「三十年後の世界」より 著者:海野十三
っとそばへいって、よく調べた上でないと、なんともいえないが、そういうことも、頭の
片すみにおぼえておくといいね」 「えらいことになったぞ」 と、キンちゃんが、目....
「地軸作戦」より 著者:海野十三
う場所は、すっかり土が抉られてしまって大穴となっている。かりそめにも、博士の肉一
片すら、そこに残っているとは思えないのじゃよ」 「あほらしい。金博士ともあろうも....
「旅なかま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
お城のほうへ、ひらひらとんでいきました。それから王女の寝べやの窓下に来て、そっと
片すみにしのんでいました。 町はひっそりしていました。ちょうど時計は十二時十五....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
をうんと押さえつけて来る、恐ろしいほど荘厳だ。小屋の内に這入って見ると、薄暗い、
片すみに、二升鍋が一個と碗が五つ六つ、これは上高地温泉で登山者のためとて、備品と....
「どこで笛吹く」より 著者:小川未明
遊ぶものがありません。 光治は、その木の下にきたのでありました。そこは運動場の
片すみであって、かなたには青々としていねの葉がしげっている田が見え、その間を馬を....
「汽車の中のくまと鶏」より 著者:小川未明
って、汽車が動きはじめました。しばらくするとくまは、このときまで、まだ、うす暗い
片すみにじっとしている鶏の方を向いて、 「もうだいじょうぶだ。だれも、ここへはや....
「いちじゅくの木」より 著者:小川未明
そいのをかわいそうに感じたのでした。 吉雄くんは、お家へ帰って、さっそく、庭の
片すみにあったいちじゅくの木を、圃へ移してやりました。 「僕がわるかったのだ。さ....
「魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
し発見されませんでした。よくよく整理して死なれたものと見え、文字を書いた一片の紙
片すらなかったのです。ところが偶然、この売り立てをいたそうとしたおかげで、この二....