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片羽
「片羽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
片羽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「女の決闘」より 著者:太宰治
《ほしょう》を出して、それを引っ込めるのを忘れたように見える。そこここに、低い、
片羽のような、病気らしい灌木《かんぼく》が、伸びようとして伸びずにいる。 二人....
「サフラン」より 著者:森鴎外
ちり》の附くように、いろいろの物の名が記憶に残る。そんな風で名を知って物を知らぬ
片羽《かたわ》になった。大抵の物の名がそうである。植物の名もそうである。 父は....
「ヰタ・セクスアリス」より 著者:森鴎外
では落第しないが、容貌では落第しそうだと云うのが、大不服である。「わたしはお前を
片羽《かたわ》に産んだ覚えはない」と、憤慨に堪えないような口気で仰ゃる。これには....
「安井夫人」より 著者:森鴎外
え右の目がつぶれた。父も小さいとき疱瘡をして片目になっているのに、また仲平が同じ
片羽《かたわ》になったのを思えば、「偶然」というものも残酷なものだと言うほかない....
「大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
、「金翅鳥《こんじちょう》王剣座」――そいつで切って棄てたのであった。 金翅鳥
片羽九万八千里、海上に出でて龍を食う――その大気魄に則《のっと》って、命名した所....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
の初めの、それは名月の夜であったが、彼はフラフラと歩いて行った。 主水町を過ぎ
片羽通りを通り、大津町まで来た時であったが、一個黒衣の大入道が彼の前を歩いて行っ....
「窓」より 著者:鷹野つぎ
いた北窓には、窓の閾まで日光を遮断する、樺色の日覆が来る日も来る日も拡げた蝙蝠の
片羽のかたちで垂れさがっていた。殊に秋の末から冬にかけては、よくよく穏やかな日和....
「明治美人伝」より 著者:長谷川時雨
山県公の前夫人は公の恋妻であったが二十有余年の鴛鴦《えんおう》の夢破れ、公は
片羽鳥《かたわどり》となった。その後、現今の貞子夫人が側近《そばちこ》う仕えるよ....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
盗みしな。鳩はなかば屠られて、羽の色の純白なるが斑に血の痕をぞ印したる。二ツ三ツ
片羽羽たたきたれど、早や弱り果てたる状なり。 「畜生!」 と鋭く叫び、小親片膝....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
らである。と、紋也は声をかけた。
「次は誰だ、字喜多氏にしよう。型は当流での鷹の
片羽だ。右肩を胸板まで切り下げる呼吸だ。用心! 行くぞ! 防いでごらん」
また....
「肌色の月」より 著者:久生十蘭
池の伜が……それで石倉という管理人が引分けに行ったが、あばれて手に負えないので、
片羽絞《かたはじ》めで落しておいて、やっとのことでひきあげたんだそうです」 主....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ことは出来ない。
美しいレエスの領飾をして、
踊場で楽むことも出来ない。
乞食や
片羽と一しょになって、
暗い歎の蔭に隠れて、
よしや神様はお免なさるとしても、
....
「女の決闘」より 著者:オイレンベルクヘルベルト
丁度森が歩哨を出して、それを引っ込めるのを忘れたように見える。そこここに、低い、
片羽のような、病気らしい灌木が伸びようとして伸びずにいる。 二人の女は黙って並....
「遠野物語」より 著者:柳田国男
れば山の名とす。その白鹿撃たれて遁げ、次の山まで行きて片肢折れたり。その山を今|
片羽山という。さてまた前なる山へきてついに死したり。その地を死助という。死助権現....
「みずうみ」より 著者:室生犀星
が、小波もない湖の底まで明るい透きとおった影の尾を曳いている。ときどき扇のような
片羽を開いて嘴で羽虫でも※るのであろう、ふいに水の上の白い影が冴えて揺れた。 「....