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片身
「片身〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
片身の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「酒中日記」より 著者:国木田独歩
なり。馬島《うましま》に哀れなる少女あり大河の死後四月にして児を生む、これ大河が
片身、少女はお露なりとぞ。 猶《な》お友の語るところに依れば、お露は美人ならね....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
もう六十に近い、人品のよい武士で、引立《ひきたて》烏帽子をかぶって、萌黄と茶との
片身替わりの直垂《ひたたれ》を着て、長い太刀を佩《は》いていた。彼は白い口髯の下....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
ろう」 「いや熊鷹《くまたか》じゃろう。あれは意地むさいでな。だがなあ喜惣、この
片身はどうあっても、お前にはやれんぞ。あれは、第一|儂《わし》の穽《あな》なんじ....
「海異記」より 著者:泉鏡花
と、黄色く環どって透通ったような水と天との間さ、薄あかりの中をいろいろな、片手で
片身の奴だの、首のねえのだの、蝦蟇が呼吸吹くようなのだの、犬の背中へ炎さ絡まって....
「観画談」より 著者:幸田露伴
にして、ヒョロヒョロと風の柳のように室へ入り込んだ大噐氏に対って、一刀をピタリと
片身青眼に擬けたという工合に手丈夫な視線を投げかけた。晩成先生|聊かたじろいだが....
「土鼠と落盤」より 著者:黒島伝治
炭酸の臭いがプン/\している病院の手術室へ這入ると、武松は、何気なく先生、こんな
片身をそぎ取られて、腹に穴があいて、一分間と生きとれるもんですか、ときいた。 「....
「女客」より 著者:泉鏡花
ゃ、凄い死神なら可いけれど、大方|鼬にでも見えるでしょう。」 と投げたように、
片身を畳に、褄も乱れて崩折れた。 あるじは、ひたと寄せて、押えるように、棄てた....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
斧のごとくに見えた。 紫の襲の片袖、紋清らかに革鞄に落ちて、膚を裂いたか、女の
片身に、颯と流るる襦袢の緋鹿子。 プラットフォームで、真黒に、うようよと多人数....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
窕たる淑女は、袖つけをひしと取って、びりびりと引切った。緋の長襦袢が※と燃える、
片身を火に焼いたように衝と汽車を出たその姿は、かえって露の滴るごとく、おめき集う....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
物であった。私は麹町の万長亭で、柳桜の「髪結新三」を聴いたことがあるが、例の鰹の
片身を分けるという件りは、芝居とちっとも違わなかった。して見ると、この件りは黙阿....
「三甚内」より 著者:国枝史郎
。何んとか云いねえ気味の悪い野郎だ」 云い云いジリジリと付け廻す。相手の武士は
片身青眼にぴたりと付けたまま動こうともしない。 しかし不動のその姿からは形容に....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
る愛着が、そうでなかれかしと秘かに祈るのであった。 ところが、その日のうちに、
片身の本体が明らかにされたと云うのは、そうして対座中、どうしたことか、法水が聴耳....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
でる友だちにきまり悪かった。中村三之助という友人と並んでいたら、自分のさいの魚の
片身を箸ではさんで、私の弁当箱に入れようとした事があった。私は真赤になって烈しく....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
は考えるのもいや」と彼女はロード・サッセックスに語っている、「なぜってね、自分の
片身であるような相手なら、つい秘密を打ち明けてしまう惧れもあるのだから」彼女はそ....
「洗いづくりの世界」より 著者:北大路魯山人
獲りたてのものか、または生かしてあるのでなければならないが、これを三枚におろし、
片身を斜めに五、六枚につくり、蓼酢、わさびなどを調味に添え、肉のいかったのを食う....