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片道
「片道〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
片道の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
す。こういうことになるせいか、因幡という人は船が嫌いで、いつも砂村へ行く時には、
片道は船、
片道は陸と決まっているので、当日も船で行って、陸を帰るという筈だったの....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
受取るとさっさと改札口に向った。もう少し悠りしていれば彼女の直ぐ後から、 「中野
片道一枚」 と叫んでいる怪しい男に気がついたであろうが、彼女は何事か深く考えて....
「うつり香」より 著者:近松秋江
の電車の間に合って、須田町まで来ると、もう江戸川ゆきはなかった。ようよう電車賃が
片道あったばかりだから俥にも乗らず、幸い夏の夜で歩くのによかったから、須田町から....
「死までを語る」より 著者:直木三十五
私は、女房に黙って、家を出た。懐中に、十二三銭もあったから、往復切符を買おうか、
片道にしようか、この一銭の差で、可成り考えて (一銭損でも、職にありつければいい....
「破片」より 著者:寺田寅彦
、改札口で切符切りの駅員がきっと特別念入りにその切符を検査するようである。しかし
片道切符のときはろくに注意しないでさっさと鋏を入れるように見える。どういうわけか....
「獄中記」より 著者:大杉栄
んだ。 初陣は二十二の春、日本社会党(今はこんなものはない)の発起で電車値上(
片道三銭から五銭になろうとした時)反対の市民大会を開いた時の兇徒聚集事件だが、三....
「雁坂越」より 著者:幸田露伴
いはせずに済んだが、もう癒ったからまた今日っからは毎日だろう。それもいいけれど、
片道一里もあるところをたった二合ずつ買いに遣されて、そして気むずかしい日にあ、こ....
「投手殺人事件」より 著者:坂口安吾
。岩矢天狗と上野光子をのせて嵐山を往復した自動車、二台」 「イヤ、それじゃない。
片道だけしか行かなかった自動車なんだ。嵐山まで、
片道人を運んだ自動車、みんな探し....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
た人がある。伊東は年に四、五回、遠雷がかすかにカミナリのマネをしてみせる程度で、
片道三時間の通勤は不便だが、ヘソをぬかれる心配のない平和に替えられないと彼は云っ....
「裏切り」より 著者:坂口安吾
の二百四十円で、円タクをとばしてみようじゃないか。どのへんまで行けるかなア」 「
片道ね」 「むろんだ」 「小型で銀座まで行けるでしょう」 そこで二人はタクシー....
「特攻隊に捧ぐ」より 著者:坂口安吾
とをせず、戦争の始めから、航空工業を特攻専門にきりかえ、重爆などは作らぬやり方で
片道飛行機専門に組織を立てて立案すれば、工業力の劣勢を相当おぎなうことが出来たと....
「鷲」より 著者:岡本綺堂
てなびいていた。 この主従は七つ(午前四時)起きをして江戸の屋敷を出て、往きの
片道を徒で歩いて、戻りを駕籠に乗るという世間なみの道中であるらしく、主人の女はも....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
残って谷をなしてるところを迂回して行くのであるが、大廻りだし砂の道だし、急いでも
片道一時間かかるそうだね。私は行けなかった。視界二、三米という物凄いモヤにまかれ....
「汽船が太平洋を横断するまで」より 著者:服部之総
コースはきわめて合理的だった。第一にカリフォルニア貿易は五〇年代を通してほとんど
片道貿易だった。すなわち金の輸送は少数の船に限られており、人間は金掘に失敗した者....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
うとすると、出戻り娘のお光ちゃんが物かげから手招きしている。そして私の手に電車の
片道券をそっと握らせてくれるのだった。行暮れて人の情が身にしみる。彼女のほのかな....