片陰[語句情報] » 片陰

「片陰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

片陰の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あらくれ」より 著者:徳田秋声
美しく澄んでいた。白い往来には、大師詣りの人達の姿が、ちらほら見えて、或雑木林の片陰などには、汚い天刑病《てんけいびょう》者が、そこにも此処にも頭を土に摺《すり....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
ズメの蝋燭、ごんごんごまを摘んだ思出の可懐さがある。 しかもそのくせ、卑怯にも片陰を拾い拾い小さな社の境内だの、心当の、邸の垣根を覗いたが、前年の生垣も煉瓦に....
足迹」より 著者:徳田秋声
ようになっているお駒才三を誰やらがつけてもらっていた。お庄は瓶を抱えたまま、暗い片陰にしばらくたたずんでいた。 お庄は振りのような手容をして、ふいとそこを飛び....
貧しき人々の群」より 著者:宮本百合子
た第一の人影は、どれほど恐ろしく偉大なものに見えたろう! 第二の影はよろよろと片陰の木の茂みに身を潜めた。 人影を行き過ぎさせようとしたのである。 けれど....
名娼満月」より 著者:夢野久作
聞くともなく聞いて行くうちに、銀之丞はフト耳を引っ立てて、並んで曳かれて行く馬の片陰に近付いた。声高く話す馬士どもの言葉を一句も聞き洩らすまいと腕を組み直し、笠....
小春」より 著者:国木田独歩
島なりし今は丘となりて、その麓には林を周らし、山鳩の栖処にふさわしきがあり。その片陰に家|数二十には足らぬ小村あり、浜風の衝に当たりて野を控ゆ。』 その次が十....
蜘蛛の夢」より 著者:岡本綺堂
が、日盛りに出て行って、また途中で倒れでもしては大変ですから、いろいろになだめて片陰の出来るまで寝かして置きまして、やがて七つ半を過ぎた頃から出してやりました。....
おせん」より 著者:邦枝完二
ッかけに、きりりと結んだ立姿、滝縞の浴衣が、いっそ背丈をすっきり見せて、颯と簾の片陰から縁先へ浮き出た十八|娘。ぽつんと一|本咲き初めた、桔梗の花のそれにも増し....
レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
う) わだつみなれば燐の火の 屍を守ることもなく、 珊瑚の陰や渦巻の 泡の乱れの片陰に…… (声も楽器も、不意に途絶ゆ。女子は高殿の柱に取りつき) 女子 若様!....
式部小路」より 著者:泉鏡花
ょう。 行って見ましょうッて、お嬢さんをおさそい申して、不断のまんま、ぶらぶら片陰になって出かけたんですよ。 袴を召した姉さん方が、フンといってお通んなさる....
野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
ンストレエションに近く、風が吹けば盛んに穂綿を流して来るのだが、私の庭へは僅かな片陰以外、めったに下りて土着しようとはしない。一時は熱心に闘って抜き棄てたものを....