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片隅
「片隅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
片隅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「魔術」より 著者:芥川竜之介
ち至りました。勿論友人たちは皆大喜びで、すぐにトランプを一組取り寄せると、部屋の
片隅にある骨牌机《かるたづくえ》を囲みながら、まだためらい勝ちな私を早く早くと急....
「沼地」より 著者:芥川竜之介
おおげさ》だが、実際そう云っても差支えないほど、この画だけは思い切って彩光の悪い
片隅に、それも恐しく貧弱な縁《ふち》へはいって、忘れられたように懸かっていたので....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ようであった。ただその大騒ぎの最中《もなか》にも、あの猿のような老婆だけは、静に
片隅に蹲《うずくま》って、十六人の女たちの、人目を憚《はばか》らない酔態に皮肉な....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
眠っていなかったようなはっきりした声でこういった。彼れは闇に慣れて来た眼で小屋の
片隅《かたすみ》をすかして見た。馬は前脚に重味がかからないように、腹に蓆《むしろ....
「星座」より 著者:有島武郎
に立った。
待ち設《もう》けたよりももっと早く――園は少し恥らいながら三和土の
片隅に脱ぎ捨ててある紅緒《べにお》の草履《ぞうり》から素早く眼を転ぜねばならなか....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ある親分の、その罰の方が行われそうな形勢は、言わずともの事であったから、電車でも
片隅へ蹙んで、僥倖そこでも乗客が込んだ、人蔭になって、眩い大目玉の光から、顔を躱....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
いっても義人からきびしく裁かれるふしだらさを持っている。私はただ偽善者もその心の
片隅には人に示すのを敢てしない苦痛を持っているという事を知って貰えばいいのだ。そ....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
峰を築いて、沖から※と浴びせたほどに、一浦の津波となって、田畑も家も山へ流いた。
片隅の美女の家へ、門背戸かけて、畳天井、一斉に、屋根の上の丘の腹まで運込みました....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
にしていて、どうなるだろう。櫓のような物干を見ると、ああ、いつの間にか、そこにも
片隅に、小石が積んであるんです。何ですか、明神様の森の空が、雲で真暗なようでした....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
破鐘のごときその大音、哄と響いた。目くるめいて、魂遠くなるほどに、大魔の形体、
片隅の暗がりへ吸込まれたようにすッと退いた、が遥に小さく、およそ蛍の火ばかりにな....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
翼あるものらしい、その打囃す鳴物が、――向って、斜違の角を広々と黒塀で取廻わした
片隅に、低い樹立の松を洩れて、朱塗の堂の屋根が見える、稲荷様と聞いた、境内に、何....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
う身で這込みました。が、それどころじゃあねえ。この錠前だと言うのを一見に及ぶと、
片隅に立掛けた奴だが、大蝦蟆の干物とも、河馬の木乃伊とも譬えようのねえ、皺びて突....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
貸屋の背戸として、小さく囲った、まばら垣は、早く朽崩れたから杭もないのに、縁側の
片隅に、がたがただけれども、南瓜の蔓が開け閉てする、その木戸が一つ附いていて、前....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
は蒔絵ものの煙草盆、鼻紙台も差置いた、上に香炉を飾って、呼鈴まで行届き、次の間の
片隅には棚を飾って、略式ながら、薄茶の道具一通。火鉢には釜の声、遥に神路山の松に....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
その大きな急流もこの渓谷にはまったく気づかれずに流れてゆくのだ。そこは静かな水の
片隅のようなもので、急流と境を接しているのに、藁くずや泡が静かにたゆたっていたり....