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片頬
「片頬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
片頬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
うに、ふっつり来なくなってしまったのは、――お蓮は白粉《おしろい》を刷《は》いた
片頬《かたほお》に、炭火《すみび》の火照《ほて》りを感じながら、いつか火箸を弄《....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
字さんもわたしも足を止めながら、思わず窓の中を覗《のぞ》きこみました。その青年が
片頬《かたほお》に手をやったなり、ペンが何かを動かしている姿は妙に我々には嬉しか....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ひょうばん》のようじゃありませんか。」
しばらくしてから思兼尊は、こう云って、
片頬《かたほ》に笑《えみ》を浮べた。
「評判だけ大きいのです。」
「それだけでも....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
云う連中の一人だった。その兵は石に腰をかけながら、うっすり流れ出した朝日の光に、
片頬の面皰《にきび》をつぶしていた。
「第×聯隊だ。」
「パン聯隊だな。」
江....
「或る女」より 著者:有島武郎
顔《えがお》が否応なしに吸い付いて来た。……乳房はくすむったかった。葉子は思わず
片頬に微笑を浮かべてあたりをぬすむように見回した。とちょうどそこを通りかかった内....
「或る女」より 著者:有島武郎
った事を少女みたいな無邪気さでいう、またそれが始まったというように渋そうな笑いを
片頬《かたほ》に浮かべて見せた。
「わたしもう一度あのまっただなかに乗り出してみ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
た時分のように、お玄関の書生さんにしてお貰いなさいよ。 ああ、これは、」 と
片頬笑みして、 「余り上等な墨ではありませんな。」 「可いわ! どうせ安いんだわ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
、ぶっきらぼうにそう答える。 「朝げにまた眠いとってこづき起こされべえに」にっと
片頬に笑みをたたえて妹は君にいたずららしい目を向ける。 「なんの」 「なんのでね....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
、車夫が一人、腕組みをして、のっそり出る。 これを聞くと弥次郎兵衛、口を捻じて
片頬笑み、 「有難え、図星という処へ出て来たぜ。が、同じ事を、これ、(旦那衆戻り....
「女客」より 著者:泉鏡花
「おそなわりました、御新造様。」 お民は答えず、ほと吐息。円髷艶やかに二三段、
片頬を見せて、差覗いて、 「ここは閉めないで行きますよ。」 明治三十八(一九〇五)年六月....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ったよ――気をつけておいで。) と大な懐中時計と、旗竿の影を、すっくり立って、
片頬夕日を浴びながら、熟と落着いて視めていなさる。……落着いて視ちゃあいなすった....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
錦の丸帯。鶸の嘴がちょっと触っても微な菫色の痣になりそうな白玉椿の清らかに優しい
片頬を、水紅色の絹|半※でおさえたが、且は桔梗紫に雁金を銀で刺繍した半襟で、妙齢....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
して甲走る。 吃驚して、ひょいと顔を上げると、横合から硝子窓へ照々と当る日が、
片頬へかっと射したので、ぱちぱちと瞬いた。 「そんなに吃驚なさいませんでもようご....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
抜け上って頭の半ばから引詰めた、ぼんのくどにて小さなおばこに、櫂の形の笄さした、
片頬痩せて、
片頬肥く、目も鼻も口も頤も、いびつ形に曲んだが、肩も横に、胸も横に、....
「活人形」より 著者:泉鏡花
「叱! 声高しと押止めて、眼を見合わせ少時無言、この時一番鶏の声あり。 得三は
片頬に物凄き笑を含みて、「八蔵。という顔を下より見上げて、「へい。「お前にもそう....