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牙城
「牙城〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
牙城の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
定的なものが現われていた。彼の凄愴な神経作用が、いかなる詭計によって、あの幽鬼の
牙城に酷迫したのであろうか。そのにわかに緊張した空気の中で、法水は冷たくなった紅....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
に余念のないような頑是ない年ごろである。 斎の道を踏もうとするものとして行き、
牙城と頼むものも破壊されたような人として帰って来た。それが半蔵の幼い子供らのそば....
「正義と微笑」より 著者:太宰治
という努力が、ばからしいものに見えて来た。僕には、斎藤氏のように、あんな堂々たる
牙城は、とても作れそうもないんだ。 夜は、兄さんに引っぱられて、ムーランルージ....
「壊滅の序曲」より 著者:原民喜
と、ある日、清二は事務室で正三に云った。「東練兵場に築城本部がある。広島が最後の
牙城になるらしいぞ」そういうことを語る清二は――多少の懐疑も持ちながら――正三に....
「明日への新聞」より 著者:宮本百合子
の伸張された姿に発展させようと腐心し、封建的な藩閥官僚政府に向って、常に思想の一
牙城たろうとした。 元来、新聞発行そのものが、民意反映の機関として、またその民....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
有力な社会的運動だが(同人雑誌の数を見よ)、この文学こそは今日の文化的自由主義の
牙城である。そして之に平行し得る各種のブルジョア観念論哲学(西田哲学・人間学主義....
「認識論とは何か」より 著者:戸坂潤
の命題であった。 吾々は心理の概念の次に、意識の問題に這入ろう。ここは観念論の
牙城である。 まず意識とは何であるか。というのは、意識は如何なる充足原因によっ....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
ろう。彼等は必然的にイデオローゲンと握手せざるを得ない。だがその時は彼等が唯一の
牙城であるインスティチュートを一時思い切らねばならぬようになる時でもあるのだ。 ....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
という気がしてきたぞ。」 そう言うと彼は蝋燭を吹き消し、外套を着て、あの医学の
牙城といわれるキャヴェンディッシュ広辻《スクエア》の方へと出かけた。そこには、彼....
「生前身後の事」より 著者:中里介山
が都新聞紙上に連載されて相当の好成績を示していた時分のことだ、当時本郷座は新派の
牙城であって巨頭が皆ここに集って歌舞伎の俳優と相対し、天下を二分していたのだが、....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
本にはない。よって貴殿にお話し致す。――貴人横奪、槐門周章。丙より壬、一所集合、
牙城を屠る。急々如律令。――つまりこういう意味でござった。甲斐守殿へお伝えくださ....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
うなって、当時の瑞西を考えると、新教アナバプチスト派の侵入をうけていて、加特力の
牙城が危胎に瀕していたのですからね。ですから、何んとはなしにその奇蹟と云うのが、....
「西航日録」より 著者:井上円了
、ハーグに至り博物館を一覧し、スピノザ翁の銅像に参拝す。 遠尋遺跡入蘭東、像立海
牙城市中、身起賤民成碩学、応知翁亦一英雄。 (遠く遺跡をたずねて蘭東部に入る。ス....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
ぎれば緑も流れんばかりである。) 和蘭野望(和蘭の野を望む) 車入和蘭路、海
牙城外煙、夜来霖雨歇、春水漲。 (車は和蘭の路に入れば、海牙郊外は霞がたちこめて....
「望郷」より 著者:服部之総
築城術は当年の世界的水準をそなえていたといってよい。その城が、その幕府のさいごの
牙城となり、いわんや日本国土上さいしょの共和声明の記念の場所となるなぞと、だれが....