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牡丹桜
「牡丹桜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
牡丹桜の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
少女はきくきく笑いながら逃げ去った。 復一は急いで眼口を閉じたつもりだったが、
牡丹桜の花びらのうすら冷い幾片かは口の中へ入ってしまった。けっけと唾を絞って吐き....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
染井吉野のように花が咲いてしまってから葉の出るような種類が開花のさきがけをして、
牡丹桜のような葉といっしょに花をもつようなのが、少しおくれて咲くところを見ると、....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
いて、その叢の周囲には青み出した芝生が、茵のように展べられていた。山吹の背後には
牡丹桜が重たそうに花を冠っていた。お京は芝生へ坐り込んだが、人形を膝の上へ大事そ....
「桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
いうものを如実にうつし出している。 夜嵐や太閤様のさくら狩 その女 ちぎれおつ
牡丹桜の風雨かな 沼菽女 閨中の美女をあつめて豪華をつくした太閤の桜狩も、花....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
オ、お助けくださりませーッ」 乱れた衣裳、髻千切れた髪、蒼白な顔、嵐に揉まれる
牡丹桜とでも云おうか、友禅の小袖の袖口からは、緋の襲着がこぼれ、半分解けた帯の間....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
膝へ両の拳をついたが、あやうく転ぶのをまぬがれたのである。と、ヒョイと前を見た。
牡丹桜の老木が立っていた。すでに季節は過ぎていたので、枝にも梢にも一面に、花はな....
「わが寄席青春録」より 著者:正岡容
々代林家正蔵が胃病で歿り、旧知の急逝に私は銀座裏で安酒を煽って涙し、目が醒めたら
牡丹桜の散る吉原のチャチな妓楼で眠っていた。間もなく日暮里の花見寺での葬儀では、....
「獄中通信」より 著者:戸坂潤
感慨が深かったが、夜があけると世界は一変して、妙なる枝振りの林檎、桃、水蜜、杏、
牡丹桜八重桜(欝金もあり)、散り残りの山桜、木蓮、海棠さては菜の花、桐の若葉、紅....