物の具[語句情報] »
物の具
「物の具〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物の具の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「薤露行」より 著者:夏目漱石
えあろう。――ランスロットは漸《ようや》くに心を定める。 部屋のあなたに輝くは
物の具である。鎧《よろい》の胴に立て懸けたるわが盾を軽々《かろがろ》と片手に提《....
「修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
こと。御機嫌伺いとして行親参上、ほかに仔細もござりませぬ。 頼家 言うな、兵衛。
物の具に身をかためて夜中の参入は、察するところ、北条の密意をうけて予を不意撃ちに....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
しまいました。 「スワ!」 という騒ぎ。高張《たかはり》がつき提灯がつき、用意の
物の具が、物すさまじい音をして牢屋同心の人々の手から手に握られました。 けれど....
「絶対矛盾的自己同一」より 著者:西田幾多郎
握するのである。この故に芸術家の創造作用の如きものでも、制作によって生産様式的に
物の具体概念を把握するということができる(かかる意味において美も真である)。しか....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の晩、調べに来た役人というのは仰々《ぎょうぎょう》しいものでありました。いずれも
物の具に身を固めた兵士《つわもの》で、十津川から来たものと、紀州家の兵とが一緒に....
「イデオロギーの論理学」より 著者:戸坂潤
るからこそ問題なのであるが――は、もはや最初の具体的事物とは全く別である。この事
物の具体性が分析に際して形式と内容との連帯性として働かない時、その分析は虚偽とし....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
、科学は決して具体的な事実に於いて分析を施すことが出来なくなる筈だ。処が科学は事
物の具体的な分析のためにこそ、特に公式なるものを用いなければならなかったのである....
「辞典」より 著者:戸坂潤
降り式な形式ではなくて、内容の圧力によって自己の形態を形成して行く質料であり、事
物の具体性の最後の拠り処である。夫は物理学的認識に於て物理学的物質の概念を与える....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
れひとつ正式に着用して、ためしてみてくれよう」
といって、仏頂寺は、飾り物の甲冑
物の具をいちいち分解にかかりました。
よせとも言えない。
「勇士組にいる時、甲....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
て宇津木兵馬もこの室に宿り、仏頂寺、丸山の徒もここに来《きた》り、その時の鎧櫃、
物の具の体《てい》、あの時と、ちっとも変らない一室の中でありました。 夜具の中....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
豆飯豆飯と言って喜んでいたが、その筈だ、いんげんがうんとはいっているんだ。この食
物の具合からだろう、大便が二日か三日に一度しか出ない。監獄にはいるといつも、最初....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
ります。云々《うんぬん》」
「どうつかまつりまして」
「それ戦国の世においては、
物の具とって君の馬前に討死なし、もって君恩に報いたてまつるみちもござりまするなれ....
「雪の宿り」より 著者:神西清
さえも、今朝からずっととだえているような気がする。この中を、仮に南都の衆徒三千が
物の具に身をかためて、町なかを奈良坂へ押し出したとしても、その足音に気のつく者は....
「日記」より 著者:宮本百合子
家の始祖」に与えた批評の或言葉についての感想。 彼は、私が芸術の最も大切な、事
物の具象化を、却って抽象化して居る、つまり主人公の心持も、自分の概念で作って、心....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
になりましたけれども、それも楠公|佩用の太刀が分ったのではありませんでした。太刀
物の具がはっきりしないばかりでなく、第一、楠正成という人は大兵であったか、小兵だ....