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物の気
「物の気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物の気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「Kの昇天」より 著者:梶井基次郎
ていました。 ところで、月光による自分の影を視凝《みつ》めているとそのなかに生
物の気配があらわれて来る。それは月光が平行光線であるため、砂に写った影が、自分の....
「食魔」より 著者:岡本かの子
てやりながら、「すると、そのとき以外は、良人に蛍雪が綽名に付けたその鼈のような動
物の気持でいるのかしらん」と疑う。 鼈四郎は、煙草を喫いながら、彼のいう人並の....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
の怪物たちがどう出るか、いまは最も大事な時であったから、むやみなことをいって、怪
物の気持を悪くしてはいけないと思ったのだ。 そのうちに、怪物は相談が終ったと見....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
あびて、ゴロリと横になっては犬をからかっていました。 Oは私にYを小説の中の人
物の気で見ていろといいました。私もややそれに似た気持ちで見てはいましたけれど、そ....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
小宮山の顔色|蒼然! 話に聴いた、青色のその燈火、その台、その荒筵、その四辺の
物の気勢。 お雪は台の向へしどけなく、崩折れて仆れていたのでありまする。女は台....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
かぬから、臥床に片手|支いたなり、熟と室の内を※しながら、耳を傾けると、それ切り
物の気勢がせぬ。 「はてな、」 自分で、奥さん、と言ったのに、驚いて覚めたには....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ださいましたでしょうね、きっと……」 老伯爵はぞっとして、自分の娘はいよいよ本
物の気違いであることを知ると、執事の止めるのも聞かずに、彼女を連れて領地へ帰ろう....
「郷介法師」より 著者:国枝史郎
吹いている。庭の花木にあたると見えて、サラサラサラサラと落花でもあろう、地を払う
物の気勢がする。 「郷介」と直家は意味あり気に、 「其方は今年二十二歳、姫とはち....
「劇の好きな子供たちへ」より 著者:岸田国士
しさ」ばかりふくんでいるものとはかぎらない。いちばん面白い「セリフ」とは、その人
物の気持がじつによくあらわされていて、その人物がそのときそれをいうのが、なにより....
「馬妖記」より 著者:岡本綺堂
三声か四声である。したがって、声のする方角へ駈け付けても、そこにはもうそれらしい
物の気配もしないのである。 何分にも暗くてはどうにもならないので、かれらは松明....
「ばけものばなし」より 著者:岸田劉生
鬼気」を感ずる時、感ずる対象はどうしても、一種の「怪」である。 もののけとは、
物の気、または物の怪であろう。ともかくも幽霊よりはもっと客観性に富んだ存在である....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
し萌して来た暁の光を受け止めて居るのが眼に入った。彼の疲れた体にその塊は、強く生
物の気配いを感じさせた。よく観るとそれは象であった。背中から四肢にかけ、縦横に布....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
を見たのである。 市郎は父の亡骸を抱いて泣いた。 この時、背後の方から不意に
物の気息が聞えて、何者か忍び寄るようにも思われたので、市郎は手早く蝋燭を把って起....
「審判」より 著者:カフカフランツ
ように思われた。Kはビュルストナー嬢の部屋の扉へ行き、低くノックした。いっこうに
物の気配がしないので、もう一度ノックしたが、依然として返事がなかった。眠っている....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
べすべとつやつやとした美女の生肌の、丸太の首根っこに、灰銀色の旋転光の截断刃が、
物の気持ちよく、それも音もなく、(恐らく澄心の極とはこうした無音だろう。)閑かに....