物忌[語句情報] »
物忌
「物忌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物忌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高島異誌」より 著者:国枝史郎
薄尾花の花の蔭で、降るように虫の鳴きしきる、一年に一度の良夜であったが、長い間の
物忌から、すっかり欝気した純八は、その籠もった気を晴らそうものと、一人ブラリと家....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、もしそれがあった日には、土地の人は総出で竜神の社へ集まり、お祓《はら》いをし、
物忌《ものい》みをし、重い謹慎をして畏《おそ》れる。最初にそれを見つけた人は、そ....
「死者の書」より 著者:折口信夫
ったのも、道理である。此は、財物を施入する、と謂ったぐらいではすまされぬ。長期の
物忌みを、寺近くに居て果させねばならぬと思った。其で、今日昼の程、奈良へ向って、....
「ほととぎす」より 著者:堀辰雄
になっていられるのも、本当に心憎いほどなお思いやりだこと。あいにくそれから殿も御
物忌《おものいみ》つづき、こちらも何かと
物忌がちで、殆ど門も鎖《とざ》したぎりな....
「かげろうの日記」より 著者:堀辰雄
御様子をごらんなさいませ」などと言われて、私も少し気をつけていた。が、あの方は「
物忌《ものいみ》ばかり続いていたのだ。もう来まいなどとおれが思うものか。どうもお....
「源氏物語」より 著者:紫式部
心から、こんなふうにしいて親しみ寄ろうとするのも悲しい心である。 その一室には
物忌という札が貼られ、だれも出入りをしなかった。常陸夫人も二、三日姫君に添ってそ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
って格子などを上げ、右近が姫君の居間の用を一人で勤めた。その室の御簾を皆下げて、
物忌と書いた紙をつけたりした。母夫人自身も迎えに出て来るかと思い、姫君が悪夢を見....
「水の女」より 著者:折口信夫
ような形をとった。これで今年の早処女となる神女が定まる。男もおおかた同じころから
物忌み生活に入る。成年戒を今年授かろうとする者どもはもとより、受戒者もおなじく禁....
「ピタゴラスと豆」より 著者:寺田寅彦
るで嘘であるとしても、昔のギリシャかローマに何かそれに類する「禁戒」「タブー」「
物忌み」といったようなものがあったのではないかという疑いをおこさせるには十分であ....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
中務省の陰陽寮から出たお話だとすれば、きっとまた何か悪いことが起るに違いないわ。
物忌を怠れば、皐月と云う月にはきまってわざわいが現れるのですもの。全く、うかうか....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
くは行かぬ様に見えた「山ごもり」「野あそび」にも、一部はやはり、一|个処に集り、
物忌みするばかりでなく、我が里遥かに離れて、短い日数の旅をすると謂う意味も含まっ....
「山の人生」より 著者:柳田国男
行末々たがふまじと誓ひて過ぎたまふ。急々如律令。敬白。 右の話が天つ神の新嘗の
物忌の日に、富士と筑波と二処の神を訪れて、一方は宿を拒み他方はこれを許したという....
「日本の伝説」より 著者:柳田国男
て、日の暮れに富士に行って一夜の宿をお求めなされた時に、今日は新嘗の祭りで家中が
物忌みをしていますから、お宿は出来ませぬといって断りました。筑波の方ではそれと反....
「年中行事覚書」より 著者:柳田国男
なものであったらしい。 ところが内外の事情の次々の変化のために、この一月余りの
物忌の期間を、静かに謹慎して待ち暮すことが出来なくなり、結局はやっと農事の一きり....
「母の手毬歌」より 著者:柳田国男
を送らなければならなかったので、この日に常の仕事をしてはならぬというのも、古来の
物忌みの一つの形であったことが明らかである。沖繩の島には、ハブという毒蛇がもとは....