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「物思い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

物思いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
わざとしわがれた声で、笑って見せた。が、次郎は依然として、顔を暗くしながら、何か物思いにふけるように、目を伏せて歩いている。…… 「大事《おおごと》にならなけれ....
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
上 夜、盛遠《もりとお》が築土《ついじ》の外で、月魄《つきしろ》を眺めながら、落葉《おちば》を踏んで物思いに耽っている。 その独白 「もう月の出だな。いつもは月が出る....
」より 著者:芥川竜之介
薇の花も太陽も蜂の翅音《はおと》も忘れたように、たった一匹|兀々《こつこつ》と、物思いに沈んでいるばかりであった。 何週間かは経過した。 その間に蜘蛛の嚢の....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
くような気がした。それがそのまま吉弥の胸ではないかと思った。 こんなくだらない物思いに沈んでいるよりも、しばらく怠っていた海水浴でもして、すべての考えを一新し....
自叙伝」より 著者:大杉栄
て二週間の休暇をくれた。 学校の門を出た僕は、以前の僕と変らない、ただ少し何か物思いのありそうな、快活な少年だった。そしてその足ですぐ大阪へ行った。 大阪に....
○○獣」より 著者:海野十三
たりを一つ一つ数えはじめた。 「あ、あなたです。ワタクシ、よく覚えています――」物思いにふけっていた敬二は、いきなり黄いろい女の金切り声とともに、腕をムズとつか....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
荘厳な衣服にあらためて、かれらを迎えた。 「これがわたしの作品だ。」と、彼は深い物思いに耽りながら言った。 それを見守っていた批評家らの顔は深い悲痛な影に掩わ....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
うものを。……どうぞ、唯今お熱いお湯を。旦那様お寒くなりはしませんか。」 今は物思いに沈んで、一秒の間に、婆が長物語りを三たび四たび、つむじ風のごとく疾く、颯....
黒百合」より 著者:泉鏡花
背のすらりとしたのが、片手に帯を挟んで、俯向いた、紅絹の切で目を軽く押えながら、物思いをする風で、何か足許も覚束ないよう。 静かに歩を移して、もう少しで通へ出....
初雪」より 著者:秋田滋
胸一ぱい吸い込むのだった。 そうして彼女はその思い出の糸を手繰りながら、じッと物思いに耽るのだった――。 * * * ....
寡婦」より 著者:秋田滋
の最後の人間であったその子の身に伝えられてでもいるようでした。その子はいつ見ても物思いに耽っておりました。そして、館から森へ通じている広い楡の並木路を、たッたひ....
妖影」より 著者:大倉燁子
う。甲板の欄干にもたれて、先刻のお嬢さんが連れもなくたった一人で、月を眺めながら物思いに沈んでいる。この夜更に、あんな病人がとちょっと妙な気がしたが、そのまま立....
美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
らなかった。 見物は面白そうに、他愛なく喜んでいる、その中に、小夜子一人は深い物思いに打ち沈んでいるのだった。 「達ちゃん、もう帰りましょうよ」 「お母様、僕....
蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
のですが、実はその眼はお写真を見ているのでもなく、何かこう幻影を追いながら、深い物思いにでも沈んでいるという風なのです。私は変だなと、心に思いました。 『ちょい....
深夜の客」より 著者:大倉燁子
もって描かれたものであった。 夜は次第に更けてゆく。 洋子は身動きもしないで物思いに沈んでいた。瓦斯ストーヴの火が青く見える。 すると、庭を誰やら忍び歩い....